新春トップインタビュー①ライフ岩崎高治社長がコロナ禍の経営戦略と成長図を語る
差別化の柱はビオラル事業
そして、「変える」べきことの1つは働き方だ。その一環として、本社で月に1回行っていた各店長や部門チーフ向けの営業施策説明を、動画での配信に切り替えた。都合のよい時に何度も繰り返し見られるし、現場で複数人で一緒に見ながら議論を交わせることで、理解度も深まっている。
このほか、セミセルフレジ導入によるレジ業務省力化、発注作業でのAI活用、一部店舗で実験している電子棚札の導入などにより、店舗運営の効率化を進めている。
もう1つ変えるべきは、営業施策の在り方だ。足元の既存店売上高はややスローダウンしており、やはりコロナ禍での景況感の悪化というのが影響し始めているようだ。しかしそれでも、安全最優先の観点から、チラシやポイントセールを介した大規模な販促はやるべきではないと考えている。
SM業界は近年、全員が価格で争う“同質競争”を繰り広げた結果、利益は上がらず、生産性の低さが関係省庁からも指摘されている状況だ。コロナ禍という国難を機に、小売業の体質改善を図るべきだと私は思う。もちろん安さも大事だ。しかし、売上が厳しいからといって安売り一辺倒になるのではなく、「付加価値」をつけることも重要だ。
われわれとしては1つ、健康志向への対応に注力している。16年に大阪市内に出した、有機食品や健康志向の商品を揃えた「B ビオラルIO-RAL」の上期売上高は対前年同期比約140%を記録し、黒字化を果たした。さらに2号店を12月19日に東京・吉祥寺にオープンした。それに先立ってプライベートブランドとしての「BIO-RAL」を40アイテム開発、首都圏の既存店の一部でコーナー展開している。将来的にはこのビオラル事業だけで100億円の規模にしたい。