ライフスタイルは大きく変化、小売業もDXを進めなければ将来はない=リテール&ITリーダーシップフォーラム2020

2020/12/16 07:00
    ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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    レガシーシステムは大きな損失につながる

     続くプログラムは「パネルディスカッション1」。パネリストは、丸井グループ副社長で日本小売業協会CIO研究会で座長を務める佐藤元彦氏、カスミ社長の山本慎一郎氏、トライアルホールディングス取締役副会長CIOの西川晋二氏。

     野村総合研究所の藤野氏がコーディネーターを務めた。ここでは①DXについて各企業がどのようにとらえ、今何をしているのか②現在の課題認識③課題の解決の方向性──という3つのテーマについて、パネリストが自社の活動を報告した。

     その中で丸井グループ副社長の佐藤氏は、旧態依然とした「レガシーシステム」を使い続けることは大きな損失につながると指摘。これまでの古いシステムを刷新する「攻めのIT経営」に取り組み、生産性向上やコスト低減をめざしている活動を紹介した。

     「講演3」は、パナソニック コネクティッドソリューションズ社 現場プロセス本部エグゼクティブインダストリースペシャリストの大島誠氏による「棚起点からの『自律型流通サプライチェーン』を目指して」。

     また「講演4」は、ファンケル社長執行役員CEOの島田和幸氏による「コロナ禍を越えて ALL-FANCL, ONE-FANCLNEXT FANCL」。

    業界全体での取り組みが必要

     第2部のテーマは「小売業CEO、CIOが考えるべきDXの基本戦略
     ~2030年ビジョン~」。

     「講演5」は、経済産業省 商務・サービスグループ 消費・流通政策課長の伊藤政道氏による「With/After コロナにおける小売業の未来とDX」。「講演6」は、流通経済研究所専務理事の加藤弘貴氏による「日本の流通協働化の課題とDX ~製・配・販連携協議会の活動経験から」。

     「講演7」は、ヤマトグループ総合研究所理事長の木川眞氏による「コロナ禍で加速する新たな物流の潮流について ~フィジカル・インターネット~」。

     ヤマトグループ総合研究所理事長の木川氏は、物流事業者の視点からDXへのアプローチを論じた。近年、①労働者不足②多頻度小口化が、日本の物流に起きている問題とし、さらに現在はコロナ禍、また多発する自然災害で大きなダメージを受けていると説明した。これに対し、物流を通じて持続可能な社会を実現する革新的なシステムとして、「フィジカル・インターネット」という概念を紹介した。

     フィジカル・インターネットとは、「インターネットのパケット通信の仕組みを物流に適用し、モノの輸送、仕分け、保管を変革するコンセプト」を指す。

     ただ今後、日本でもこの考え方で課題を解決するには、単独企業による自前主義を脱し、業界全体での取り組みによる対応が必要だと強調した。最後のプログラムは「パネルディスカッション2」。

     第2部で登壇した講師のほか、学習院大学経済学部教授の河合亜矢子氏ら、学識者も加わり「外部からみた日本の小売業のD X戦略」について論じた。

     ①日本の小売業のパフォーマンス、課題②日本の小売業の成長戦略とDX③実際に、いかにイノベーションを実現するか──、の3つの論点についてディスカッションした。

     この中で学習院大学教授の河合氏は、「小売業のDXによるイノベーション ─高い潜在能力─」をテーマに、日本の小売業がDXを実現するうえで必要な条件、要素について、学術的な視点も交えながら持論を紹介した。

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