物流強化、データ活用、デジタル変革…変わる生協!コロナ特需を好機に“攻め”の投資
即時配送への挑戦や異業種との連携も!
もう1つ生協が進めるのが、近年の重点課題としてきた若い組合員の獲得だ。
前出のアンケート結果では、コロナ禍で最も利用が増えた組合員の年代は「30~40代」という回答だったが、同時に年齢の高い層も増えているため「組合員の高齢化」という構造は変わっていない。
近年はオイシックス・ラ・大地(東京都)のように有機野菜やミールキットなどの品揃えで若い世代の支持を得るプレーヤーも台頭しており、着実に存在するこの需要をいかに取り込んでいくかが、生協の今後の伸びしろといえそうだ。
そうしたなか若い世代の獲得に成功しているのが九州エリア最大の供給高を誇るエフコープ(福岡県)だ。同生協は若い世代にとって身近なツールであるSNSを活用した宣伝に注力し、組合員の高齢化に歯止めをかけている。今後は、エフコープの魅力を発信してくれる「アンバサダー」を子育て世代のなかから起用し、各アンバサダーのSNS「Instagram」を通じた情報発信にも挑戦する計画だ。
そのほか、最近はこれまでの生協にはなかった動きも見られる。
たとえばコープデリ連合会は、18年より注文から最短3日後の指定日に商品を配送する新たな配送モデルのサービスを東京都の一部エリアで実験的に行っている。
また、コープさっぽろは19年12月にドラッグストアを展開するサツドラホールディングス(北海道)と包括業務提携契約を締結したほか、今後は道内の流通企業複数社で共同仕入れ機構も設立する考えで、異業種を含めて北海道内の流通企業と積極的に連携することで競争力向上を図っている。
このようにコロナ特需で成長の原資を得た生協陣営が、宅配ニーズの高まりも追い風に競争力向上に向けた動きを加速させている。
日本生協連の嶋田裕之代表理事専務は「コロナ禍による食品宅配の競争激化は生協にとって、“聖域”のない抜本的な改革を進める契機になる」と言及している。
この言葉どおり、データ活用や若年層の獲得など実はさまざまな成長余地を残している生協がここで一気に改革を図れば、食品宅配市場での存在感はさらに高まるはずだ。今後の食品宅配市場をとらえるには、こうした生協陣営の動きをしっかり押さえておく必要があるだろう。
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