ヨーク大竹正人社長が語るセブン&アイの首都圏SM戦略と鍵握る3つのフォーマット

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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「ザ・プライス」の要素を生かしたDS対抗型に期待

──都市部での成長のカギとなる、小型フォーマットについてはいかがですか。

大竹 19年7月に改装した、売場面積約250坪の「ヨークマート中町店」(東京都世田谷区)が今後のモデル店になると考えています。リニューアルでは、都市部の需要を見込み簡便商品を強化したほか、小型でも快適な買物環境や、鮮度感・出来たて感を訴求できる店づくりを実践しました。その結果、同店もお客さまから高い支持を得ています。この小型フォーマットの運営ノウハウは、都市部立地の店舗が多い「食品館」の活性化にも生かせるでしょう。

 「食品館」については、6月に全店の屋号を「ヨークフーズ」に転換し、品揃えを改良しました。なかでも「新宿富久店」(東京都新宿区)は、今回の改装で最新の新規MDを導入しており、成功例をほかの転換店にも波及させる方針です。

──3つめのDS対抗型はどのようなフォーマットですか。

大竹 「ヨークマート」が強みとする生鮮・総菜に、イトーヨーカ堂のDS「ザ・プライス」の商品や売場づくりを取り入れたフォーマットです。「ザ・プライス」の驚くほど低価格な商品を売場の一部に組み込むことで、価格訴求を強めるとともに、宝探しをするような楽しさも提供できる店をめざしています。

 同フォーマットを改装により19年8月に「食品館(現ヨークフーズ)梅島店」(東京都足立区)に、19年10月に「ヨークマート川崎野川店」(神奈川県川崎市)に導入したところ、ともに近隣にオーケーさんをはじめ価格訴求力の高い競合店があるにもかかわらず、売上高が向上しました。

 次世代を担うフォーマットになると大きな期待を寄せており、価格競争の激しいエリアでこのフォーマットを展開していきます。

──「ヨークフーズ」や近年の「ヨークマート」の店舗では、ヨークベニマル(福島県/真船幸夫社長)の商品や売場づくりを多く取り入れています。

ヨークフーズ スイーツ売場
新規MDでは、店内加工の魚総菜やサラダ、スイーツといった付加価値の高い商品の開発に力を注いでいる

大竹 はい。グループで連携した取り組みとして、ヨークベニマル子会社のライフフーズ(福島県/松崎久美社長)が製造する、冷総菜やレンジアップ商品の供給を受けています。

 最近では、ミールキット開発でも連携していて、ちはら台店で導入した、本格的な味が楽しめるパエリアやあんかけ焼きそばのキットは手ごたえを得ています。

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