ヤマトと組んで翌日配達率向上 ZHDが打ち出す新コマース戦略「Xショッピング」構想とは!?

流通ジャーナリスト:森田 俊一
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「Xショッピング」とは

 これとあわせてZHDは、ECとリアル店舗の垣根を限りなくなくす新コマース戦略「Xショッピング」構想を発表した。

 ZHDの川邊健太郎社長は会見で「新型コロナ禍でECの局面が変わった」と語り、いっそうECシフトが進んだという認識を示した。この局面で同社は、EC事業の革新を図り、消費者、さらにストアに出店する事業者の利便性を高めることで、モールの拡大を加速していく狙いがありそうだ。

 具体的には「PayPay(ペイペイ)モール」における実店舗の在庫連携機能の提供である。すでにヤマダ電機(群馬県)など一部ストアで在庫の有無を表示する取り組みを始めているが、「店があるから、EC全体が盛り上がってくる」(小沢隆生ZHD執行役員)とみて、今後はグループ会社のZOZO(千葉県)運営の「ZOZOTOWN」に出店するショップに対しても、ショップ側の了承を得たうえで実店舗在庫共有情報を共有するとしている。

 Xショッピングでは店の在庫をマップ上に表示、実店舗での購入、ECで決済して購入に加え、今後は在庫を確認できる実店舗を増やし、ECで決済して店頭で受け取ることができるようにする。

 またXショッピングでは、グループのZOZO(千葉県)との連携を強化。すでにZOZOでは「ZOZOTOWN」出店ブランドの在庫情報を一定数保有しているが、これを出店ブランドの了承のもと実店舗在庫共有情報として活用していく。これにより、ECの課題だった「着てみたい」「触ってみたい」「今すぐ手に入れたい」というニーズにも応えられるようにする。

 このようにECと実店舗を融合することで、ZHDではECと実店舗市場を合わせた150兆円の市場にリーチできるようになるとみる。

 さらにヤフーは、ECサイト運営事業者向けにショッピングシステム「XSエンジン」を外部に開放する。一般的にECを手掛ける事業者は、システム投資、技術開発などに継続的な費用が発生するが、「XSエンジン」を提供することでこれらの課題の解決に寄与する考えだ。同システムではPayPayモールやYahoo!ショッピングにも出店できるほか、Xショッピング、ペイペイによる決済などヤフーが蓄積したノウハウを活用できる。

 Yahoo!ショッピングが2013年に「Eコマース革命」を宣言して以降、ショッピング事業取扱高は3倍にまで増加している。「(EC業界)1、2位の背中がかなり近くに見えている」と確かな手応えを示したZHD川邊健太郎社長。矢継ぎ早にM&Aと提携、新戦略を打ち出しており、EC国内1位に向け、着々と歩みだしている。

 

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