連載「バイヤー必見！今行くべき専門店」　第5回ワインの提案が巧みな飲食店

食品スーパーのバイヤーにとって、商品開発のためのヒントとして外食のトレンドは必ず押さえておきたいところだ。そこでこの連載では、外食トレンドの“今”をよく知る「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員の有木真理氏に、食品スーパーの売場提案の参考になる専門店を紹介してもらう。連載第5回の今回クローズアップするのは、近年各社が酒類売場のなかでもとくに力を入れている「ワイン」。

敷居の高さを払拭し 売上を伸ばそう！

①選べる楽しさを提供！　
「銀座テルミニ」（東京都中央区）

　こちらのイタリアンレストランで注目したいのは、ワインの注文システムです。来店客は食事を注文後、地下にあるワインセラーの鍵を渡されます。そこから自身でワインをセレクトし、食事と一緒に楽しむのです。

　セラー内のワインには、知識があまりない人でも選べるように、価格だけでなく、その特徴を丁寧にＰＯＰに記しています。説明内容で選ぶもよし、価格で選ぶもよし、いわゆる“ジャケ買い”で、チケット（ラベル）のデザインで選ぶもよし。

　このようにお気に入りの1本との出会いが楽しめるとともに、テーブル席で従業員にワインをオーダーする際の緊張感もなく気軽にワインを選べる点が支持されている店です。

所在地　　　東京都中央区銀座3-11-6 鈴木ビル1F
営業時間　 17:３0～翌0:30、土曜・祝日16:00～23:00
定休日　　  日曜　月曜が祝日の場合は営業

② ワインと料理の
「ペアリング」の真髄を知る
「L’AS（ラス）」（東京都港区）

　ワインを提案するうえで重要なキーワードの1つが、料理との「ペアリング」です。しかしこれまた難易度が高いため、デートや重要な会食の場でワイン選びに苦労し、会話が楽しめなくなってはナンセンスです。

　そうしたなか紹介したいのが、日本におけるペアリングディナーの“立役者”と言っても過言ではない、こちらのフレンチレストランです。一押しは、食事に合わせたワインを提供してくれる「ペアリングプラン」。コース料理一皿ごとに最も合うワインが提供されるので、ワインを途中で追加オーダーする必要がなく、食事との“対話”を存分に楽しめるのです。

　

　食品スーパーにおいても、食事メニューと、ベビーボトルやハーフボトルのワインの組み合わせを複数用意し、ペアリングコースを提案するのも面白いかも知れません。

 

所在地　　　 東京都港区南青山4-16-3 南青山コトリビル 1F
営業時間　　17：30〜22：00、土日祝は17：00〜
定休日　　　不定休

 

③人気上昇中！ロゼワインの専門店
「BAR LIT.（バー リット）」（東京都渋谷区）

 　今、ロゼワイン人気がじわりと高まっています。　

　なんとなく甘口なイメージがありますが、実はすっきりとした辛口も多く、食事によく合うのです。その飲み口の軽やかさから、ランチワインとしてのニーズも高いほか、ほんのりとしたピンク色の可愛いらしさから、とくに女性から人気を集めています。　

　同店は、そんなロゼのワイン、スパークリングワインだけを約30種類集めた専門店で、グラス1杯からさまざまな種類が味わえます。このように1点特化で店の特徴を際立たせるのはファン創造のための有効な戦略。食品スーパーでも、ロゼワインという新カテゴリーをさらに育成していくために、ロゼに特化した売場づくりや、少量サイズを充実させて比較検討できるような提案ができるのではないでしょうか。

所在地　　　東京都渋谷区代々木2-7-12 FOOD HALL BLAST！ TOKYO内
営業時間　　11：00～23：00
定休日　　  なし

「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員
有木 真理（ありき・まり）

リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300日以上。ジャンルは立ち飲み～高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。「ホットペッパーグルメ外食総研」https://www.hotpepper.jp/ggs/