アダストリアはGMSの救世主となるか?ファウンドグッドの戦略とは
苦戦するGMSを救え、SPAプラットフォームを活用
アダストリアは26年2月期を最終年度とする中期経営計画で「グッドコミュニティの共創」をテーマに、さまざまな業界、業種、団体とつながって、同社が持つ企画、生産、店舗開発などバリューチェーンの強みを生かした BtoB事業を積極的に拡大する方針を掲げている。この分野ではすでにアパレルメーカーのワールド(兵庫県/鈴木信輝社長)が先行して成果を上げているが、いわば「プラットフォームビジネス」である。
その中核となるビジネスプロデュース本部は①学校や飲食店向けの制服、イベントのノベルティなどを制作するライフスタイル・クリエイション部、②今回のIYの案件を進めるリテールプロデュース部、③既存ブランドの出店や販売員のサポートをするブランドプロデュース部で構成。現在約40人の人員を抱え、約200 社と取引がある。

「今回のプロジェクトはこれまでのコラボレーションとは違う。単なる卸売と考えるのでなく、当社のバリューチェーンを最大限活用するなど、会社を挙げて自分事のように取り組んでいる。経営陣を含め全カテゴリーの部長、物流やシステムも含めたさまざまなメンバーが『GMSを救わなければいけない』という高いモチベーションを持ち、チームにも当社の精鋭を投入した」と執行役員でビジネスプロデュース本部長を務める小林千晃氏は力を込める。
GMSは00年前後からユニクロ、ニトリなどのカテゴリーキラーに売上を奪われ、かつての輝きをなくしている。
とくに衣料品の低迷は深刻で、日本チェーンストア協会によると、1992年に約3兆9000億円あった加盟企業の衣料品は23 年には2割以下の約7400億円に減っている。
各社は生き残りをかけて衣料品のてこ入れに動いている。イオンリテール(千葉県/井出武美社長)は婦人・紳士のカジュアル部門を子会社に移管・統合し、既存ブランドを刷新する形で3月から新たなSPAブランド「TVC」を自前で立ち上げた。
専門店やメーカーの力を借りる動きも広がっている。IYやイズミはアダストリアが企画する専用ブランドの供給を受けている。 GMSではないがスーパーセンターなど総合業態を展開するベイシア(群馬県/相木孝仁社長)はワールドと組み、婦人服「ヨリモ」を昨年秋から展開している。
アダストリアは今後もこうした支援ビジネスに前向きだ。「アダストリアにお願いすれば解決してくれると思われる存在になりたい」と小林氏は意欲を示す。
「ファウンドグッド」については「都心に行かなくても足元商圏にすてきな商品がたくさんあるというライフスタイル提案をできればと思う。ご縁があれば、コンビニエンスストアなどいろいろな業態にこのブランドが付けられればいいと思う」と話していた。
なお一部商品はセブン-イレブンの次世代型店舗「SIPストア」でも取扱う予定だ。
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