アダストリアはGMSの救世主となるか?ファウンドグッドの戦略とは
売場演出から接客まで、あらゆるノウハウを提供
「ファウンドグッド」をIYに商品供給するのはアダストリアだ。 BtoB(事業者間取引)事業を統括するビジネスプロデュース本部が主導し、小売業他社と協業するリテールプロデュース部が担当する。同部はGMSのイズミに22年9月から商品供給している衣料品の専用ブランド「シュカ」も担当している。
IYとは約1年半前から協議を続けていた。食品売場を訪れたお客が衣料品売場を三十数%しか買い回っていなかったため、足元商圏の30代~40代のお客を引き付けるライフスタイル提案型のブランドを開発。商品の供給だけでなく、売場演出や販促、接客、売場づくりのノウハウもIYに提供する。
マーチャンダイジング(MD)は2週間に1回新しいものを取り入れる26週MDで運用。アダストリアのマーチャンダイザーが在庫データの連携による週別の在庫配分調整などを支援する。
比較的大型の4店(木場店、東大和店、大和鶴間店、松戸店)はモデル店に設定。最大店は3月15日にオープンした東大和店(神奈川県)で250坪の売場を擁し、カフェも併設している。
これらを含め売場内装や空間演出、独自仕様の照明やマネキン、ハンガーを導入した主要14店(国領店、大森店、甲府昭和店、溝ノ口店など)には、アダストリアの各ブランドで経験を積んだスーパーバイザーを配置し、現場で接客指導や研修を実施する。店内環境の整備には店舗デザインチームが入り、 SNS(交流サイト)であるインスタグラムでの情報発信もプレスチームが行う。
こうしてアダストリアがサポートする主要14店で成功体験や成功事例を積み重ね、それを他店にも広げていく。3~4月はテスト販売と位置づけ、仮説と検証、修正を繰り返す。本格的な展開は夏以降になるという。
商品企画と生産もアダストリアが担当する。同社の主要ブランドである「グローバルワーク」や「ニコアンド」「ベイフロー」などで築いた自社の生産ラインを利用することはもちろん、パートナーの繊維商社などとも協業。ブランドの開発から商品企画、生産、物流、販売までをグループ内で一貫して行う同社のバリューチェーンを最大限活用する。
ブランドの事業規模としては、売上高約500億円の「グローバルワーク」や300億円超の「ニコアンド」は別格だが、「ヘザー」「レイジブルー」といった 50店前後を展開する中堅ブランドと同等の体制を組む。
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