めざすはデジタル発の製菓メーカー! おやつサブスクのスナックミーのユニークすぎる事業戦略
月、あるいは年単位で定期的に料金を支払い、商品やサービスを利用する「サブスクリプション」。近年は、音楽、動画、アパレル、クルマなどさまざまなサブスクリプションビジネスが台頭しており、消費者の財布シェアを競っている。そうした中、おやつのサブスクリプションというユニークなビジネスを手がけるのが、2015年創業のベンチャー、スナックミー(東京都)だ。デジタル発の、“お菓子”というモノではなく、“おやつ”という体験を提供するブランドを生み出していく「おやつ体験メーカー」をめざし、チャレンジを続ける同社の取り組みについて、代表取締役社長の服部慎太郎氏を取材した。
おやつサブスク「snaq.me」とは!?
「snaq.me」とは、食べきりサイズ(20~30g)のおやつ8種を専用ボックスに詰め合わせた「おやつ定期便」を、ユーザーの自宅や職場に届けるサブスクリプションサービスだ。届ける頻度は「2週間に1回」「4週間に1回」の2パターンから選ぶことができ、1ボックス当たりの価格は1880円(税込、別途送料330円)となっている。
「snaq.me」を利用するユーザーは初めに、公式サイト上で食の好みや除外したい食材などの情報を入力する「おやつ診断」を受ける。その後、購入手続きを行うと、自宅や職場などにおやつ定期便ボックスが届く仕組みだ。届いた商品を食べた後は、マイページ上で評価をつけることができ、食べたいおやつをリクエストすることも可能だ。
「snaq.me」では、常時100種類以上の菓子を揃えており、そのラインナップは毎月更新される。1000億通り以上の組み合わせの中から、自分好みの8種のおやつが定期的に届くというわけだ。
ラインナップされている商品も特徴的だ。「snaq.me」のおやつは全商品が人工甘味料、合成香料、合成保存料、漂白剤などが不使用で、ナチュラル素材だけを原料としている。スナックミーは現在、日本全国244社の生産者と提携し(2023年3月時点)、商品の製造・開発を行っており、個人でおやつづくりをしている職人から「道の駅」などで菓子を販売している地場メーカーまで、多彩な生産者と協業関係にある。2016年3月のサービス開始からの約7年間で開発したおやつの種類は2300を超えている。
ユニークなのがおやつ定期便で届く8種のおやつはユーザー自身では選べないという点だ。マイページのリクエスト機能で好みの商品をリクエストして毎月届けさせることも可能だが、「snaq.me」では基本的に同じ商品が続けて届かないようになっている。
おやつ定期便の8種のおやつはスナックミー側が独自にセレクトしており、ユーザーはボックスが届いたときに初めてどんなおやつが届いたかがわかる。今まで知らなかった新たなおやつと出会ったときの喜びを楽しんでもらいたい、という想いが込められている。
スナックミーの創業ストーリー
近年は、「ロッテ」「森永製菓」といった大手菓子メーカーのほか、「GODIVA」のような高級メーカーもサブスクリプションサービスに参入しているが、ベンチャー企業であるスナックミーはなぜ、「おやつのサブスク」を開始するに至ったのだろうか。
「snaq.me」の基盤となっているのが、服部社長の「食」への興味関心だ。大学卒業後、大手コンサルティングファーム、大手IT企業などを経て、スナックミーを創業した服部氏。会社員時代に訪れたマルシェで出会った、シンプルな原材料を使ったおやつの味に感動し、「こんなおやつを身近に買えるようにしたい」という同氏の想いがスナックミーの原点となっている。
「snaq.me」がサービスを開始した2016年頃は、現在ほどサブスクリプションビジネスがメジャーではなかったが、「マルシェで新しいものに出会う」という体験をウェブ上で実現するためにサブスクリプションというモデルに目をつけたかたちだ。
創業当初のスナックミーは、都内のマルシェやローカルの道の駅で販売している菓子を買い付け、それらをパッケージにして販売していた。サービスを続ける中で「スナックミーオリジナルのおやつが欲しい」というリクエストがあったことから、16年6月からおやつの自社開発をスタートする。現在、スナックミーの商品開発チームには、食品小売の経験者やパティシエ出身のメンバーも在籍しており、日々開発を行っているという。