4月に予定していたアナリスト向けの決算説明会を約1ヶ月遅らせて開催したのはアレンザホールディングス(東京都/浅倉俊一社長)。合併にともない、たな卸資産の評価方法を売価還元法に変更したためだ。2019年2月期の売上高は797億9700万円(対前期比1.3%増)と2年連続の増収だったが、たな卸資産の評価減が10億1600万円発生したため、営業利益3億9500万円(同76.7%減)、経常利益6億9100万円(同64.2%減)、当期純利益は6400万円の赤字決算となった。
中小HC企業がさらに集う可能性も
アレンザホールディングスの前身は、ダイユーエイト(福島県/浅倉俊一社長)とリックコーポレーション(岡山県、現:タイム〈吉原重治社長〉)という2つの中堅ホームセンター(HC)企業。2016年の2社経営統合を機に社名をダイユー・リックホールディングスに改めた。そして、今年4月にバローホールディングス(岐阜県/田代正美社長)傘下のホームセンターバロー(岐阜県/和賀登盛作社長)を株式交換で完全子会社化。アレンザホールディングスに社名変更するとともに、バローホールディングスの傘下に入った。
アレンザとはイタリア語で「同盟・連合」のことであり、グループ企業の関係強化と拡大を誓う宣言を意味する。
現在は、傘下にダイユーエイト、日敷(秋田県/小田原豊博社長)、タイム、バローホームセンターのほかペット専門店のアミーゴ(東京都/中村友秀社長)とジョーカー(東京都/蓮岡秀幸社長)、輸入卸売業のアレンザジャパン(東京都/栁沼忠広社長)があり、全国に250店舗を展開している。
同社は2030年度の売上目標を3000億円に据えた「チャレンジ3000」を推進中である。新規出店とM&A(合併・買収)のあわせ技で達成を目指す。
次のページは
アレンザホールディングス、成長のための5つの戦略!
アレンザ、成長のための5つの戦略!
2020年2月期の経営スローガンは「飛躍への挑戦~成長への基盤づくりから新たなステージへ~」。同時に経営方針も発表した。
1つめは、「商品力、商品販売力の強化」。新商品や新カテゴリーの商品を拡充し、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)を強化。棚割りシステム導入を検討し、接客サービスに注力するというものだ。
2つめは、経営統合による「マスメリット」の追求だ。メーカーを統一し、共同仕入れ化を進め、粗利益率を対前期比1.2ポイント増の31.4%に改善を図る。また、バローホールディングスグループを活用した資材調達など店舗運営コストの一切合切を見直し、削減する。
3つめは、「プライベートブランド(PB)商品の開発推進」である。マスメリットによる粗利益率の改善と商品の高付加価値化と品質向上を同時に進める。
4つめは、「物流の効率化」。バローホールディングスグループとの共同利用を通じて、物流機能やエリア保管、物流の効率化、コスト削減に乗り出す。また、海外開発商品用にバローホールディングスグループと共同利用できる物流センター新設を検討する。
5つめは、「経営(財務)指標の改善」だ。事業会社ごとに財務指標の目標を決めるとともに、キャッシュフロー改善に努める。
同社が何よりも重視しているのは、バローホールディングスグループとのシナジー創出だ。アレンザホールディングスは、バローの食品PBをHCの店内に導入したり、自社の持つ非食品のPBをバローに供給したりすることで既存店舗の強化を推進する。また、バローホールディングス傘下の事業会社でフィットネスクラブを展開するアクトスの事業にもフランチャージーとして参入し、「健康」軸の商品開発。店舗資材の共同調達や人財交流にも力を注いでいく。
浅倉社長は、「HC業界はボーダーレス競争に直面しているが、HCらしい品揃え、売り方、サービスを強化したい。東北、東海、中国エリアのドミナント深耕を図る。同時に地域に根付いているローカルブランドの発掘育成にも取組み、約3割の商品は個店対応で差別化を進める。大商圏には専門性、小商圏には利便性を提供して、住まいと暮らしに関する『地域密着のライフライン』になりたい」と抱負を語った。
アレンザホールディングスの2020年2月期の連結業績予想は、営業収益1390億円(対前期比68.6%増)、営業利益32億円(同708.5%増)、経常利益35億円(同406.5%増)としており、仮にこの数字通りに推移すると、HCの売上高では10位にランクインすることになる。