社史に刻まれなかったユニ・チャームの挑戦とは?

千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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「社史には本当に大事なことは刻まれていないかもしれない」と力を込めるのはユニ・チャーム(東京都/高原豪久社長)の二神軍平元副社長だ。1961年に大成化工㈱として創業されたユニ・チャームの最大の転機は、ある大手製薬メーカーにOEM(相手ブランドでの商品製造)供給していた生理用品の取引をやめたことなのだという。

歴史
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大きな賭けに挑んだユニ・チャームの決断

「大変、大きな賭けに打って出たと言っても過言ではありません。売上の大半を占めていたOEM供給をストップして、ナショナルブランド1本に注力することはリスクしかなかった。なにしろ代替の売上の見込みがつかないんだから……」と二神さん。

 ところが同社の社史には、「建材→女性→乳児→ペット→介護」というマーケティングの変遷や新技術開発などのイノベーションの変遷はしっかり刻まれているものの、大変な決定を下した、この事実には触れられていない。

 「決断に至るまでに創業者の故・高原慶一朗さんがどんなことを考え、どんな逡巡があったのかを伝えることが本当の社史だと思う」と二神さん。

 「実は、多くの企業にそういう陽の目を見ない重要な社史があるのでは……」と問うている。

記事執筆者

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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