競争に勝つためには、まずは敵を知ること

千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
Pocket

iStock:1092087654

「教わることは何もない」というプライドの落とし穴

 ストアコンパリゾン(競合店調査)はおろか、同業・異業の店舗を見ない、という小売企業がある。

 あるところ業界では指導的な立場にあるので、いまさら教わることなど何もないというスタンスだ。もちろん、口に出して豪語するわけではないが、その企業の誰と会ってもそんな感じであり、企業体質の中に高いプライドが絶えず見え隠れしている。

 それだけ自信があることは素晴らしいことである。胸を張って誇ってもいい。

 ただし、そのスタンスを取り続けた場合、どこかの企業とガチンコ勝負になった時には、殆(あや)うい、と中国春秋時代の兵法書『孫子』の中で孫武は説いている。

「彼を知りて己を知れば百戦して殆うからず」というのは、あまりにも有名な一節だが、その後には、こう続いている。

「彼を知らずして己を知れば、一勝一敗す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」(敵のことを知らないで自分のことを知っていれば勝ったり負けたり。敵も自分のことも知らないと相当まずい)。

 つまり、競争に勝つためには、相手の事情も分かってなければならないということだ。相手を知って悪いことはなにもない。変なプライドは捨て、他社の店舗や戦略、戦術をどんどん研究すればいいのに……。

記事執筆者

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態