店舗数、M&A、総菜、ネットスーパー。いよいよ拡大路線に=西友兼ウォルマートジャパンCEO

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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 ただ、M&Aは相手があっての話です。売上規模の大きい小売業さんとM& Aの話をする機会もあるかもしれません。ですから規模の大小を決めずに柔軟に、そしてオープンマインドでいたいと思います。

オンラインビジネスに大きな「拡大」のチャンス

──食品事業とオンラインビジネス(ネットスーパー)については、どのように考えていますか?

スティーブ 食品事業については、総菜の製造・加工・販売を手掛ける子会社の若菜(埼玉県/難波愼治社長)を中心に事業規模の拡大を図ります。同事業部門は業界平均よりもずっと速いペースでその規模を拡大しています。まずは西友店内にある若菜の店舗をより充実させ、ロードサイドにも総菜専門店を新規出店していきたいと考えています。

 そしてネットスーパーには、大きなチャンスがあると見ています。当社は競合他社に先駆けて2000年にネットスーパー事業を開始していますが、残念ながら今は後れをとっています。私としてはネットスーパーをはじめとするオンラインビジネスに非常に大きなチャンスがあると信じていますし、今後、オンラインビジネスを加速していきたいと考えています。

──現在の一定額以上の購入で配送料無料というビジネスモデルでは、ネットスーパー事業を黒字化することは難しくありませんか?

スティーブ これもウォルマートグループのノウハウを活用することで利益を出せると考えています。ウォルマートグループである英国アズダ社のネットスーパー事業は、非常に規模が大きく、かつ利益が上がっているビジネスです。

 われわれは、その成功事例をなるべく速く、かつ可能な限り活用して日本の市場で展開していきます。11年1月にネットスーパーの全国展開を発表しましたが、黒字化できる状態になったことがその背景にあります。利益が上がる前に拡大してしまったら、損失を拡大するだけになってしまいます。

 ネットスーパーを収益性のあるビジネスにするいちばんの要因は運営面にあります。この先も工夫を重ねて、ビジネスを加速していきたいと思っています。

──最後に今後の抱負を聞かせてください。

スティーブ これからは、すでにある成功モデルで事業を拡大していくことになります。私がいちばん懸念しているのは、現状の実績に満足してしまうことです。もし、これまでやってきたことに成功を感じて満足してしまったとしたら、われわれウォルマートグループの潜在的な能力を十分に発揮することができなくなります。

 「確かに今のわれわれの業績はよい。けれども潜在的な実力値にはまだまだ遠く及ばない」と私はいつも従業員に言っています。ウォルマートグループの本当の力を日本の市場で発揮できるよう日々努力していきます。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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