歯止めがかからない!円安による原料高に対応する3つの方法
方法2 中期的にはブランド力を強化する
今回の円安は、構造的なもので、もはや日本でビジネスをやってゆく以上、状況が好転することはないと考えるべきだ。しかし、企業のBS(バランスシート)の現金と棚卸資産を見ると、すべて、3倍の価格で売らねば、
わかりやすく言えば、LOUIS VUITTONは決して(日本では)セールをやらないということなのだ。だから、みな憧れるし定価で買う。ブランド化には「辛抱」が必要なのだ。
方法3 仕入を半分にし、プロパー消化率を上げる
投入量とプロパー消化率が逆相関することは、実務をやっている人なら直ぐに分かるはずだ。簡単に言えば、売る力以上に大量に仕入れればプロパー消化率は下がるし、逆に欠品がでるぐらい仕入の量を減らせばプロパー消化率は上がる。単純な理屈である。しかし、これは縮小均衡の戦略である。ブランド別の会計では収益率は上がるものの、会社全体で言えば、固定費をまかなうだけの売上がなくなり、リストラを繰り返すことになる。今のアパレルはこの状態になっている。
こうしたとき、よくある間違いは、衣料品の新ブランドを立ち上げることだ。消費者から見れば、目新しいブランドに一定の消費が発生するが、そもそも作っている会社が同じなのだから、数シーズンもすればリストラ前の状況に戻ってしまうわけだ。こうした、縮小均衡施策を避ける方法は、経営学的にいえば、「商材を変える」か「販売エリアを変える」かのいずれかしかない。つまり、衣料品以外のビジネスをやるか、日本以外の市場にでてゆくことである。これは、論理的にそうなのだ。
さて、原価が上がれば、売価を上げる、というのは、原価率が常に一定であることが前提である発想だ。私は、その「率」を変える案を提言したい。よく考えてもらいたい。世の中は服で溢れてかえっている。また、圧倒的な競争優位を持つアパレルは限られている。ならば、ここでマーチャンダイジングモデルを根本的に変え、「率」を変化させることで、コスト高を吸収するというのが、私の提案だ。一つの考え方として参考にしていただきたい。
プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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