歯止めがかからない!円安による原料高に対応する3つの方法

河合 拓
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円安に歯止めがかからない。過去を振り返れば、円安も円高もアップダウンがあり、その時々に応じてアパレル企業と商社が様々な手を使って乗り切ってきたことは、幾多の連載で書いたとおりだ。しかし、今回の円安は構造的なもので、日本の国力の弱さが背景にあるため何か不測の事態が起きない限り、この円安傾向は止まらないと思われる。今回はこの円安による原料高にいかに対応するかについて解説したい。

y-studio/istock
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生活防衛と資源高でますますファッション衣料は売れなくなる

日本は資源のない国のため、「海外から材料を輸入、日本で加工して輸出する」ことを国策として成長してきた。

特に、アパレル業界は、98%がオフショア生産で、金額ベースでも約80%が海外生産だ。この半年で、1ドル120円から135円まで円の価値は下がり、逆に言えば輸入品の価格は高騰したことになる。

一方、日本人の給与はこの30年、まったく上がっていない。これは報道されていないが、私の周りにも「リストラ」や「減給」にあった人間が山のようにいる。そうなれば、政府がうってきた補助金施策も結局は貯蓄に回り、国民は「生活防衛」に力を入れることになる。結果、ファッション衣料など買っている場合ではない、ということになる。新型コロナウイルスの猛威も落ち着いてきたが、消費者は「服はユニクロでいい」「できるだけお金は貯めておきたい」と考え、ますます服が売れなくなっているわけだ。さて、今日は、こうした経営環境の中、いかにアパレル企業は高騰する海外生産を吸収し、利益に変えるかという点に関して、私の視点を論じたい。

石器時代のマーチャンダイジングを今すぐ辞めよ

衣料品のマーチャンダイジングのセオリーは、初期的には少なく商材を店頭に出し、売れ筋の初速を見ながら追加生産を行って、作りすぎたものは素早く換金するというものだった。これをクイックレスポンス(QR)という。しかし、もはや、このやり方は通用しない。世界で間違ったQRをやり自滅しているのは日本だけだという話は過去幾度もやってきた。

理由は簡単だ。消費者側の視点に立てば直ぐ分かるが、もはや消費者は「定価で服を買わない」からだ。消費者は、「もうすぐ待てばセールになる」と考える。実際、今日時点(6月24日)で、すでに夏物のセールの案内が山のように私をはじめ消費者のもとに来ているのだ。これからが、夏本番なのに、今からセールである。安売りの先には、破滅しかないのはこんなところからでもわかる。したがって、上記に上げたセオリーは、ブランド毀損をおこす。アパレル企業の利益計画は、消化率という大きく動く変数を前提に置かねば、算出できなくなっているのだ。

話はそれだけではない。さらに消費者目線でものごとを見れば、消費者の洋服ダンスの中は服で溢れかえっており、昨今、服を捨てることが「罪」であるという意識が高まっているため、結果的に買い替え需要も長期化し、安価なベーシック衣料、つまりユニクロやワークマンが、ますます売れてくるわけだ。このように、「売れる、売れない」には、明確な理由があり、売れない理由や、在庫が溜まる理由の因果関係を解きほぐさなければ、毎年同じをことを繰り返すことになる。「神頼み」は通用しないのだ。

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