歯止めがかからない!円安による原料高に対応する3つの方法
原価高を克服する方法
このように、止まらぬ原材料の高騰と円安による輸入の高値買いがダブルショックとなり、すでにコスト削減は限界まできており、
アパレルが、「仕入れすぎ」を辞め、そもそも「売れる力」を超える量の商品を持たないこと。そして、仕入れた商品は、可能な限り定価で販売すれば、理論上、原価高の30%を吸収することが可能なのだ。解説しよう。
アパレルは、企画段階で「企画原価率」というものを設定する。これは、上代が正規価格で売れた場合の原価率であり、いわゆる損益計算書の原価ではない。この企画原価率を仕入れた商品すべてが売ることができれば、
方法1 商社としっかり取り組み資金の滞留期間を短くする
(キャッシュコンバージョンサイクルを短くする)
今、売れに売れているアパレルの消化率はプロパーで80%を超えている。しかし、多くのアパレルは、頑張っても50%程度だ。ただ、残りの50%の商品価値は、本当にワンシーズンなのか考えてもらいたい。実際、アパレルのMDの中で売れている商品はベーシック衣料に近
ならば、本当に、それらのライトオフの期間は「ワンシーズン」なのか、3年なのか5年なのかよく見るべきだ。自動的に「ワンシーズン商材はゼロ評価」というのは、古い発想だ。アイテム毎に評価期間を細かく変え、例えば、デニムやブラウス、アンダーウエアのようなものは数年持つべきだし、バッグやアクセサリであれば5年以上は持つべきで、新規仕入は可能な限り少なくしFIFO (First in-first out 先入れ先出し)のルールで販売する商品群を定義する。また、それらの滞留期間の資金は商社に持ってもらい、商社ファイナンスを使うことをお勧めし、
原価高を克服する方法はあと2つある。
3刷突破!河合拓氏の書籍
「生き残るアパレル 死ぬアパレル」好評発売中!
アパレル、小売、企業再建に携わる人の新しい教科書!購入は下記リンクから。
河合拓のアパレル改造論2022 の新着記事
-
2023/01/24
「大ディスカウント時代が到来」 この意味が分からないアパレルの未来は悲観的な理由 -
2023/01/17
H&MやZARA等が原価下回る価格で取引を強要 SDGs時代にこんなことが起こる必然の理由 -
2023/01/10
ビッグデータを制する企業が勝利する理由と、M&Aできない企業が淘汰される事情 -
2022/12/27
2023年のアパレル大予測 外資による買収加速・DX失敗・中国企業に完敗、が起こる理由 -
2022/12/20
中国企業傘下の仏メゾン「ランバン」米国で上場 いまや中国企業に追いつけない理由 -
2022/12/13
過去のヒットからAIが予測し売れる服を自動生成!?アパレル業界の課題とこれからとは
この連載の一覧はこちら [55記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-10-15利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-09-27ユニクロが中間価格帯になったことに気づかない茹でガエル産業アパレルの悲劇_過去反響シリーズ
- 2024-10-08コンサルの使い方に社長の役割…企業改革でよくある失敗と成功の流儀とは
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-11-05ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは
- 2024-05-07ユニクロ以外、日本のほとんどのアパレルが儲からなくなった理由