鈴木誠社長が語る、しまむらがコロナ禍でも業績好調の理由とは
安易な値上げはせず、高価格帯PBを投入
―MD改革の成果ですが、コロナショック以降の販売状況はいかがでしたか。
鈴木 「生活衣料」を主力とする当社は、「衣料のインフラ」を自任し、緊急事態宣言下でも原則、休業はしませんでした。「しまむらは開いている」と評判になって、他店のお客さまにも来ていただけました。20年度第1四半期は、残念ながら赤字決算となりましたが、それ以降は回復基調が続きました。
―既存店売上の回復ぶりが顕著ですね。「しまむら」事業はコロナ禍1年目の20年度も対前年比2.6%増、直近の21年度は速報ベースで同7.1%と好調です。
鈴木 全体としては、オリジナル企画商品の拡販といった、一連のMD改革が奏功したと評価しています。21年度の既存店売上高の中身をみると、客単価は前期に比べて横ばいでしたが、客数が増えています。「巣ごもり生活」でも、新しい企画を打ち出せば、トレンドに敏感な女性は反応してくれることがわかり、自信につながりました。
―インフレが強まるなか、今後の価格戦略については。
鈴木 納得できる理由がなければお客さまは離れていくので安易な値上げはできません。当社のメーンである「ボリュームゾーン」は価格を維持する方針の一方、特価商品などの低価格帯をカットし、高価格帯のPB「クロッシープレミアム」を増やす考えです。その結果、価格は全商品平均で2~3%上昇する見込みです。