ウエルシアの「差別化をもって戦わずして勝つ」戦略の本質と実践の軌跡とは

有田 英明
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人口減少、高齢化と少子化、人手不足、競合激化、ネット販売の急伸といった時代の大きな流れを把握したうえで、次の時代に向けての戦略構築が求められている。ウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア)の組織運営戦略、人材戦略を私なりの考えで分析する。

自律型マネジメント&集団同調気質×自己主張気質

 ウエルシアの売場運営は店側の自由度が大きいのが特徴である。この仕組みと社風は池野隆光会長がつくりあげたと思っている。

 基本的にドラッグストア(DgS)では商品政策(MD)プランを本部バイヤーが作成して、それを完全作業で実行するのが店スタッフの役割になる。もちろんそれはウエルシアも同じだ。だが、ウエルシアではバイヤーが作成したMDプランの完成度は6割程度と考え、残りの4割を店スタッフの創意工夫で積み上げるというマネジメントを行っている。

 つまり店スタッフが定性目標と定量目標を理解したうえで、日常的自発的に売場改善するというマネジメントを行っている。こうした組織運営方法を「自律型マネジメント」という。

 ウエルシアが店スタッフに求めることは「集団同調気質×自己主張気質」のバランスである。

ウエルシアの処方箋
ウエルシアは医薬分業が盛んになる前の1号店の時から調剤併設型DgSを推進してきた

 集団同調気質とは「決められたことを実行する」という気質であり、たとえば就業規則を守るとかレジ精算手順を守るといったことだ。組織運営の基本になるので、とても重要である。自己主張気質とは「新しいことに挑戦する」という気質であり、たとえば需要創造MDに取り組むとか、ラインロビングに挑戦するといったことである。

 ウエルシアでは、集団同調気質のための「作業動作を徹底する訓練」に取り組む一方で、自己主張気質の育成のために「知的好奇心を育てる教育」に取り組んでいる。また店スタッフが明確な目標をもって仕事に取り組むという「売場経営者」という発想を大事にしている。

ウエルシアの戦略の背景にあること

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