第79回【クミタス】食事の安全性を高め、食べる楽しさをサポートする食物アレルギー対応サービス

2014/03/17 00:00
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 食物アレルギーのある人が自分に合った食品を探して購入できるサイト「クミタス」が高い注目を集めている。

 

 ユーザーは、自分あるいは家族などの食物アレルギーの原因となる食材を指定しておくと、その食材を含まない食品全般が表示され、そこからさらに和洋菓子や飲料、ベビーフードなどカテゴリーを絞り込んで商品を検索することができる。

 

 除去したいと設定できる食材は、卵や乳、小麦、そばなど表示義務がある7品目と、表示を推奨しているイカやイクラ、オレンジ、キウイフルーツなど18品目に、要望の多いゴマやカシューナッツを加えた合計27品目に対応。これらの食材を「含まない」あるいは「含む」といった条件で、検索することも可能だ。

 

 掲載されている商品は約1万8000アイテム。すべてAmazonやYahoo!、楽天、セブンネットで購入できる。販売価格も一目で比較できるようになっているので、価格を重視したいか、いつも利用しているネット通販の店舗を選ぶかの選択もできる。

 

 このサービスは、アレルゲンとなる食材を登録しておけば、気になる商品の一次元バーコードをスマートフォンのカメラで撮るだけで、そのアレルゲンを含む食品か否かを確認できるアプリ「アレルギーチェッカー」を運営するウィルモア(東京都中央区、石川麻由社長)が、2013年9月に立ち上げたもの。

 

 予防医療に着目した事業展開をめざす同社。「アレルゲンとなる食材さえ食べなければ症状の発生を予防できる。明確に予防に結びつけられる点から食物アレルギーに着目した」(石川氏)という。

 

 食物アレルギーは、乳幼児に多いというイメージがあるが、文部科学省が昨年末に発表した「学校生活における健康管理に関する調査」によると、調査をした1015万3188人(2万8958の小中高ほか)の児童生徒のうち、食物アレルギーがある子供はおよそ45万4000人で、アナフィラキシーを起こしたことがあるのは約5万人、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を携帯しているのは約2万7000人にのぼり、育ち盛りに食べたいものや、みんなと同じ食事を楽しめない子供たちが少なくないことがわかっている。また、子供の頃は大丈夫でも大人になってから、甲殻類や桃などの果物などに反応が出るという人も少なくない。

 

 もしアレルゲン食材を誤って口にした場合、じんましんが出たり、咳き込んだり、呼吸が苦しくなったり、嘔吐や下痢といった症状があらわれたりするほか、重篤な場合は、意識障害などの全身症状があらわれて命に関わることもある。

 

 自分自身に何らかの食物アレルギーがある人はもちろん、食物アレルギーを持つ家族がいる人にとっては、除去食や代替食を購入できる店をあちこち探したり、日々の買い物において一つひとつアレルギーの原因となる食材を含む商品かどうかを確認したりする必要があり、1日3回の食事には、不安や緊張が伴う。

 

 クミタスは、安全な食品を選ぶサポートをすると同時に、ワンストップで買い物ができる利便性も付加し、そのような食物アレルギーに悩む人のストレスを和らげた。子育て世代を中心に、食べ物に気を配るシニア世代にも利用者は目立ち、イクメンも少なくない。「乳を含まないチーズ」や「オーガニックなクッキー」などへの関心が高く、サービス開始から5ヵ月で2万5000人が利用するまでに急伸している。

 

 原材料情報などがあればプライベートブランド商品にも対応ができ、「ドラッグストア(DgS)などの小売業とのコラボレーションも視野に入れている」と石川氏。

 

 食品の取り扱いが拡大し、売上構成比も高まってきているDgSにおいて、単に集客を促すカテゴリーとしてではなく、付加価値のある食品販売のあり方を考えたときに、取り組むべきひとつのテーマと言えるだろう。

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