[農業機械]刈払機、ミニ耕運機などでHCチャネルの重要性は高まる

2018/07/13 00:00
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Car Equipment

農業機械


刈払機、ミニ耕運機などで
HCチャネルの重要性は高まる

ホームセンター(HC)では、農業関連分野のカテゴリーのひとつとして、農業機械の強化に力を入れている。近年専門チャネル以外で農業機械を購入する兼業農家、家庭菜園愛好家が増え、需要が高まっているだけでなく、HCのチャネル特性を生かした差別化につながる商品分野だからだ。近年の需要トレンドと、主要メーカーの取り組みや注目商品を紹介する。(本誌:上明戸聡)

 

 

● 全体動向 ●

 

家庭菜園や週末農業などで手軽な農業機械の需要が高まる

HCチャネルの強みを生かした店頭販促や情報発信が重要

 

 一般的に農業機械と呼ばれる分野には、さまざまな種類があるが、HCで取り扱われているのは、草刈機や刈払機、ミニ耕運機(管理機)などである。このほかポンプや発電機なども農業用途をにらんで品揃えされているケースもある。

 一般社団法人日本農業機械工業会農機具の調査によると、農業機械の生産台数は農業戸数の減少などで減少あるいは横ばい傾向にある。そのうち、生産台数が多いのは刈払機だ。

 刈払機を使用する層は、農業従事者に加え、施設管理者から家庭菜園を営む層まで幅広い。手軽で比較的安価なことから、プロ以外の層ではHCで購入するケースが増えている。

 出荷台数は年ごとの増減はあるものの、長期的に見てほぼ横ばい。機械のタイプについては金属製のチップソータイプに加え、ナイロンコードカッター式も多数登場している。

 農地を耕すことを目的とする耕運機については、市場全体としては横ばい傾向にある中で、小型のミニ耕運機が比較的小規模の兼業事業者、家庭菜園や週末菜園などでの利用に便利なため、市場が拡大する傾向にある。

 とくに近年は一般的なエンジン式だけでなく、より扱いやすい充電式、ガスボンベ式など、さまざまな動力を使用する機器が登場しており、利用者層の拡大にもつがっている。

 このほか生産台数の多いトラクターやコンバイン、田植機などは、HCではあまり扱われていない。

 HC店頭でも、専門的知識をあまり持たないユーザー層を念頭に、用途に合った製品選びの方法や扱い方などの情報発信に力を入れている。実際に機械に触れる機会が提供できる点はHCの強みともいえる。試用してみるための設備を用意するケースも増えてきた。

 とくにガソリン式のミニ耕運機の場合、使用する季節が限られており、次の使用までの期間が長くなる傾向があるため、メンテナンスやトラブル対応などのサポート体制も重要になってくる。メーカーとも連携しながら、安心して購入できる体制づくりが重要なカテゴリーといえるだろう。

 

 

農業機械 注目メーカーの動向

クボタ

ミニ耕運機の新機種「陽菜Smile(はるなスマイル)」

陽菜Smile クボタでは、家庭菜園従事者数が安定して推移する中、趣味として野菜づくりを楽しむホビー層から直売所などへの販売を行う本格派まで、幅広いユーザー層にミニ耕運機のニーズが多様化しているとみており、こうした需要層に向けた戦略的な取り組みを強化している。
 幅広いラインアップを揃える中で、今期注目されるのは、タイヤ付きで機体が安定し、幅広いユーザーに人気のあるロータリ専用機「陽菜シリーズ」のフルモデルチェンジ。操作性・作業性を進化させ、“ユーザーにもっと笑顔になってほしい”という思いを込めた「陽菜Smile」を新発売した。同機種はTRS500(4.2馬力)、TRS600(6.3馬力)、TRS700(6.3馬力)の3形式。バネ蓄力式リコイルを搭載した「らくらくスタート」(標準仕様)や、リチウムイオンバッテリーを搭載したセルスタータ「スマイルスタート」(E仕様)を採用するなど、操作性を向上。うね間の幅を「幅狭」、「幅広」に設定できる「新・簡単うね立てマット」を採用するなど、作業性も大きく進化。取扱説明動画や取扱説明書の「サイトにアクセスできるQRコード」も採用している。

 

井関農機

「農業女子プロジェクト」仕様の女性向けミニ耕運機を発売

ちょこプチ 農業機械の専業メーカーである井関農機では、子会社の株式会社ISEKIアグリを通じて量販店チャネル向け製品を販売している。農業人口の減少傾向が続く中で、プロ以外の需要についても着目しており、ミニ耕運機については比較的低価格のエントリーモデルから、プロの使用にも耐える高機能タイプまで専業メーカーとしてのノウハウと信頼性を生かした幅広い機種を展開する。
 2017年春シーズンには、農水省の「農業女子プロジェクト」において、女性ユーザーを意識した新機種「ちょこプチ(VAC2450BDW・VAC3600SW)」を発売し、注目された。シックなカラーリングに加え、始動手順をラベルの番号でわかりやすく表示するなど、扱いやすさを追求した製品。本格的なナタ形状の爪や、取り外しできる泥はね防止フェンダー(VAC2450BDW)など、さまざまな“農業女子”の意見を取り入れたコラボ仕様となっている。QRコードからのアクセスで、取り扱いガイド動画を手軽に見ることができるなど、安心して使用するためのさまざまな工夫を採用している。

 

ハスクバーナ・ゼノア

ハイパワー、排気ガス大幅減少の2ストロークエンジン刈払機

ハスクバーナ刈払機25.4ccのハイパワーエンジンを搭載し、一般的な2ストロークエンジンと比べて低回転域でもパワーを発揮するエンジン刈払機。操作が簡単で作業者の負担が少ないSTレバーを採用している。
 搭載されている「X-TORQ(エックス・トルク)」は、あらゆる回転域でトルクを増加させ、最大の駆動力を発揮するハスクバーナの新型環境エンジン。世界水準の厳しい環境基準に沿って設計されており、HC(炭化水素)やNOx(窒素酸化物)といった排気ガスを約75%削減することができる。また、排気ガス減少による作業環境の向上、最大20%の燃費率アップといった低燃費の実現によって、燃料の節約にもつながる。
 広域な作業場所での疲労を軽減する両手ハンドルタイプの「225R-Ⅱ」と、平地から傾斜地までオールマイティに使用でき、持ちやすく長時間の作業でも疲れにくいループハンドルタイプの「225RJ-Ⅱ」をラインアップしている。

 

髙儀

ハイパワーの「EARTH MAN 18V 充電式刈払機GGT-180KLiC」

充電式刈払機 髙儀では、庭の草刈りや畑、畔回りなど農地の草刈りに威力を発揮する18V充電式の刈払機を発売した。作業がスピーディーにはかどるハイパワーと、リチウムイオン電池採用で継ぎ足し充電が可能な効率性を兼ね揃える。充電式コードレスタイプなので使用場所を選ばない。
 茂った草や太径雑草の刈り込みにも威力を発揮する。2段変速で高速約5000回転・低速約3500回転に切り替え可能、刈り幅は約230㎜。運転時間(無負荷時)は、高速で約40分、低速で約80分となっている。長さは伸縮式で収納性にも優れている。質量はバッテリーパックを含んで約3.5kgと、作業性に優れた軽量設計を実現している。
 本体には安全カバー、安全メガネなどが付属しており、さまざまなシーンの草刈りにおいて、安全に作業を行うことができる。

 

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