長引く物価高で節約志向を強める消費者を引き付けようと、小売りや外食チェーンで、あえて値下げに踏み切る動きが相次いでいる。実質賃金の低迷で支出の選別が進み、旅行や「ハレの日」には出費を惜しまない一方、日常生活では切り詰める消費行動の二極化が鮮明になっているためだ。各社は生産や物流の効率化を徹底、「安さ」の追求に必死となっている。
イオンは22日、プライベートブランド「トップバリュ」シリーズの食品や日用品など約100品目について、販売数量限定で増量する実質値下げを発表した。イオントップバリュの土谷美津子社長は「(客は)価格に非常に厳しくなっている。同じものなら安い方を求めてお店をはしごしている」と指摘。11月中旬には一部商品の値下げもし、集客力を高めて売り上げを伸ばしたい考えだ。
ホームセンター大手カインズも同日、洗剤や生理用品など107品目の価格を23日から12月2日まで引き下げると発表。デジタル化の推進によるコスト削減などで、今後も継続的に価格を見直すという。
外食では、大手牛丼チェーン3社が今月、並盛りが300円台になるキャンペーンを期間限定で実施した。吉野家は100円引きし、すき家は80円、松屋は50円引くクーポンを配布。一斉値下げは話題を呼び、各社とも客数の底上げにつながったという。顧客争奪の価格競争は今後も激しさを増しそうだ。