不安高まる地方店=雇用、事業維持の確約なく―「そごう・西武」売却

時事通信社
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 セブン&アイ・ホールディングスは11日、来年2月に百貨店子会社「そごう・西武」を売却する契約を米投資ファンドと締結した。ファンドと連携する家電量販大手ヨドバシカメラの出店で売り場の活性化が期待できる都市部の店舗に対し、地方の店舗は今回の契約で存続の確約すらないのが対照的だ。従業員の雇用維持でも決まったことはなく、不安は高まる。

 セブン&アイは、雇用維持の観点を重視して交渉に臨み、ファンドのフォートレス・インベストメント・グループも理解を示したと強調する。ただ、地方店の扱いも含めて「今後の方針はフォートレスとそごう・西武で協議して決める。現時点で決まったことは何もない」(関係者)というのが実情だ。

 売却されるそごう・西武の社員は「何も知らされていない」と動揺を隠さない。交渉が長引いたため、売却方針の発覚から9カ月余りも十分な情報が得られず、不安にさらされてきた。このため、そごう・西武の労働組合は、雇用維持や事業継続を経営陣やセブン&アイ首脳らに繰り返し訴えてきた。

 地方の百貨店は「地域経済の顔」だ。西武秋田店の地元は「駅前の一等地。何らかの形で残してほしい」(佐竹敬久秋田県知事)「店舗が存続できるよう努める」(穂積志秋田市長)と強調。西武福井店のある福井県の杉本達治知事も「西武は県内唯一の百貨店で街のにぎわいの核だ」と存続への期待を示した。

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