アマゾンが商品の選択肢を制限するのはなぜ? ECの「選択のパラドックス」を考える

山中 理惠 (Rokt 日本代表)
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ECにおける重要な3つのページ

アマゾンのロゴ
2020年 ロイター/Mike Segar

 実店舗には店内の陳列棚という物理的な制約がありますが、スペース制限のないデジタル空間のECではその何十倍もの商品を陳列することができます。だからこそ、多くのECが「選択のパラドックス」に悩まされているのです。

 世界最大のECであるアマゾン(Amazon.com)も、「選択のパラドックス」を配慮した対策を行なっています。商品を各種条件で絞り込み、1ページに表示する選択肢を制限し、類似性の高い商品だけを提示することでページをすっきりとシンプルに保っています。これは、消費者が膨大な選択肢に圧倒されないようにするための、戦略的なテクニックなのです。

 ここからは、ECサイトにおいて「選択のパラドックス」による影響が懸念される、「ホームページ」「カート」「購入確認ページ」の3つの領域について、どのような対応が必要かについて具体的にご紹介します。

ホームページはシンプルに

 訪れた利用者のページ滞在時間を伸ばすため、ホームページにさまざまなボタンを備えたり、カラフルな画像やアニメーションを取り入れたりするECは少なくありません。しかし、メニューやボタンが多いと、ユーザーの心理的苦痛・混乱を引き起こします。写真や色、選択肢の過多により、目的に対するユーザーの集中力を低下させてしまうのです。これを防ぐためのポイントは以下の2つです。

 ①「シンプルさを重視」:視覚的に複雑なサイトは、シンプルなサイトに比べてその効果や美しさが劣ると評価されています。顧客体験(UX)をシンプルにすることで、利用者のサイト体験が大きく向上します。

 ②「CTAは少なめに」:CTAボタン(Call To Action:行動喚起)が多すぎると買物の妨げとなり、購入率の低下につながります。ECサイトではCTAの数を極力減らし、利用者に最適なCTAだけに絞り込むことをお勧めします。

 

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記事執筆者

山中 理惠 / Rokt 日本代表
グローバルITベンダー、大手コンサルティングファームを経て、複数のスタートアップ企業のGTMやマーケティング戦略に携わる。その後、ITからいわゆるDXにフォーカスを絞り、デジタルマーケティングの初期からSEMやソーシャルメディアの拡大に関わる。2018年から、Rokt(ロクト)の日本代表として国内市場立ち上げと拡大を担う。

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