アマゾンが商品の選択肢を制限するのはなぜ? ECの「選択のパラドックス」を考える

山中 理惠 (Rokt 日本代表)
Pocket

購入確認で次回の利用につなげる

 一般に見過ごされがちですが、購入確認ページは消費者との今後の関係性が深まるかどうかを左右する重要なページです。当社の調査によると、消費者心理では購入確認ページでの満足度が最も高くなる傾向にあり、この段階で目にする関連オファーの効果は最大7倍になることがわかっています。

購入確認ページを活用できていないECは少なくない
購入確認ページを活用できていないECは少なくない

 しかし、このページを活用しきれていない企業は多く、何も表示せずに機会損失したり、反対にいろいろと表示してユーザー離れを促してしまったり、もしくはパーソナライズせず、あまり関連性のない固定選択肢を表示してしまったりするようなECが多いのが現状です。購入確認ページでは、以下の2点に注意しましょう。

 ①「購入直後という満足度の高い瞬間を活用」:購入確認ページで顧客の動線を終わりにするのではなく、さらにタッチポイントをつくり、次の購入につなげられるステップを構築することが必要です。

 ②「パーソナライズされたメッセージやオファーを表示する」:個々の利用者に適切な選択肢を提示することで、効果を最大に高めることができます。たとえば、AIや機械学習を活用したRokt独自のソリューションでは、データに裏付けられたメッセージやオファーを表示し、顧客とのつながり強化や満足度の向上を実現し、ファンを長期的に獲得することが可能です。

 デジタルの世界では、リアル店舗と異なりスペースに際限がないため、商品の選択肢が無制限に膨らんでしまいがちです。しかし、選択のパラドックスを理解し、シンプルかつ消費者一人ひとりにパーソナライズしたアプローチを提供することで、顧客体験を向上させ、顧客との長期的な関係を築くことが可能になります。

1 2 3 4

記事執筆者

山中 理惠 / Rokt 日本代表
グローバルITベンダー、大手コンサルティングファームを経て、複数のスタートアップ企業のGTMやマーケティング戦略に携わる。その後、ITからいわゆるDXにフォーカスを絞り、デジタルマーケティングの初期からSEMやソーシャルメディアの拡大に関わる。2018年から、Rokt(ロクト)の日本代表として国内市場立ち上げと拡大を担う。

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態