ドラッグストアに生鮮食品導入は成功するか カギをにぎる日本型フード&ドラッグの可能性

有田英明
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食品強化の延長線上として「生鮮食品」を導入するDGS(ドラッグストア)が注目されている。「スーパードラッグストア開発研究会」を主宰する有田英明氏は「日本型フード&ドラッグの開発」がそのカギを握ると説く。DGSの生鮮導入が成功するための条件とは。著書「ドラックストアの教科書」から一部を編集、抜粋する。

都内のドラッグストア
成長著しいドラックストア。新たな客層を取り込むための生鮮食品導入が成功する条件とは

 生鮮DGSの2つのタイプを知る

 DGSの扱い商品の8割はNB商品である。品揃えでは競合店との差別化は難しい。したがって差別化は安売りが中心になる。そこで新しい差別化策として「生鮮を導入するDGS」が現れてきた。すでに述べたが、DGSは食品の半完成品を展開することで、お客の食生活をカバーしてきた。つまり食生活のカバー機能をさらに強化するための生鮮食品の導入である。

 DGSの生鮮食品の導入には以下の2つのタイプがある。タイプ1は「一般食品の『ついで買い』の生鮮食品」を展開するDGSである。例えば『バーモントカレー』を目当てに来店したお客に、「ついで買い」の豚バラ肉と根 菜を展開する発想の店である。このタイプは取り扱い品目を絞り込み、値段もそこそこ安ければお客は納得する。生鮮食品のアイテム数は少なく、売場スペースは狭い。

 タイプ2は「目的来店性を発揮する生鮮食品」を展開するDGSである。例えば夕食をすき焼きにしようと思ったお客が、すき焼きに必要な生鮮食品を買いに来る店である。「初鰹で日本酒をきゅっと飲もう♪」というお客が、新鮮な初鰹を買いにくる店である。タイプ2は安売りアイテムと高品質アイテムの両方が必要になる。また鮮度の良さも必要になる。SMの生鮮部門とも競合する。生鮮食品のカテゴリーの適正規模が必要になるので、売場面積は600坪程度は必要になる。

 基本的に売場面積300坪型のDGSの場合はタイプ1になる。また年間 50 100店を高速出店する大手DGS企業の場合、タイプ1の「一般食品の『ついで買い』の生鮮食品」であれば成功する。逆に言うと、売場面積が300坪程度のDGSか、または年間に 50 100店という高速 出店をするDGS企業ではタイプ2は現実的ではない。

 タイプ2はSMと競合する。したがってSMと戦える生鮮売場をつくるとなると、売場面積は600坪程度は必要になるからだ。さらにSMと戦える生鮮売場となると、インストア加工の比率も増えるので年間の出店数も数店が限度になる。

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