ドラッグストアに生鮮食品導入は成功するか カギをにぎる日本型フード&ドラッグの可能性

有田英明
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最強の業態=日本型フード&ドラッグ成功の条件

 先にも述べたが、高速出店している上場DGS企業であれば、絞り込んだ生鮮食品を導入するタイプ1しか成立しないと思っている。タイプ2は無理だと思っている。タイプ2に取り組んで成功できるDGS企業は少ない。タイプ2は「日本型フード&ドラッグ」と呼ぶべき存在であり、ハウスキーピングニーズの業態としては最強である。

 DGS企業がタイプ2を目指す場合は以下が条件になる。第1は、本格的に生鮮食品を導入するのであれば売場面積は6001000坪は必要になることだ。H&BC、雑貨、菓子、一般食品、日配品、酒類、そして生鮮4品(青果・精肉・鮮魚・総菜)の「カテゴリーの適正規模」を追求したら、この規模になる。

 第2は、H&BC、雑貨、菓子、一般食品、日配品、酒類、そして生鮮4品においても地域一番の繁盛店をつくることだ。DGSが生鮮4品を導入するとイニシャルコストもオペレーションコストも上がる。繁盛店でないと、コストをカバーできない。また繁盛店でないと、鮮度の高い生鮮食品の品揃えの豊かさは維持できない。つまりローコスト主義のDGS企業では、生鮮をモノにするのは難しい。

 第3は、謙虚な姿勢で日本のSMから学ぶことだ。日本のSMは 50 年間以上をかけて生鮮食品のMDをつくりあげ、磨き上げてきた。日本の 食文化をつくり上げてきたのはSMである。謙虚な気持ちで、そしてコストをかけて取り組まないと生鮮食品導入は成功しない。

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 第4は、年間の出店数を減らすことだ。タイプ2の場合、年間出店数は4~5店が上限だろう。競争力のある生鮮食品売場をつくるとなると、年間数十店の出店は無理だ。

 第5は、H&BCの徹底強化である。生鮮食品を導入しても、H&BCが弱体化したら元も子もない。例えば調剤併設、カウンセリング化粧品の強化といったことが前提になる。

 第6は、雑貨の用途機能の高密度化(用途機能を多く取り揃えること)、品目揃えの強化である。ハウスキーピングニーズのワンストップショッピングストアでは雑貨の強化は欠かせない。

 第7は、生鮮食品の導入の前に、一般食品、菓子、日配品、酒類等を徹底強化することだ。カテゴリー単位でSMと戦える売場づくりである。  タイプ2、すなわち日本型フード&ドラッグの開発では、H&BC、雑貨、菓子、一般食 品、日配品、酒類、生鮮4品においてカテゴリー単位でコンビニエンス×ディスカウト×スペシャリティの強化が必要になる。

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