運行停止、物流に影響=JR貨物のデータ不正
JR貨物が、データ不正の発覚に伴って全貨物列車の運行を一時停止したことを受け、宅配便の配送などに遅れが生じる事態となった。貨物列車は全国各地への荷物配送に幅広く利用されており、物流への影響に懸念が広がった。
ヤマト運輸は11日、一部の荷物配達について1日以上の遅れが生じる見込みだと公表した。対象となるのは、9月10日以降に発送された荷物で、東京・関東から九州や北海道宛てに送った荷物と、九州や北海道から東京・関東向けに送った荷物。
佐川急便も11日、荷物配送に遅延が生じていることを明らかにし、「代替の輸送手段への切り替えを検討し、遅延を最小限に抑えるために最善を尽くす」と説明した。北海道、東北、関東、北陸、関西、九州向けに送る宅配便などで遅延の可能性があるという。
鉄道を使った貨物輸送は、国内ではJR貨物がJR各社の鉄道網を使い一手に引き受けている。航空便やトラック輸送に比べて多くの荷物を運べることや、少ない人手で安定した運行ができるのが特長で、物流関係者によると、企業向けから個人向けまで幅広く利用されている。
トラック運転手の時間外労働規制強化に伴う「物流の2024年問題」を巡っては、トラックから鉄道などへ輸送手段を転換する「モーダルシフト」を進める動きも出ている。JR貨物のデータ不正は、こうした動きにも水を差しかねない。