進化するヨークベニマルの総菜SPA戦略 副菜で差別化とは

調査・解説:丹羽俊雅
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「総菜SPA」超進化

食の領域での「製販一体」に長年取り組んできたヨークベニマル(福島県/大髙耕一路社長)。総菜においても、長年SPA(製造小売)化を志向し、ヨークベニマルならではの独自性の高い商品づくりを競争力の源泉としてきた。直近ではプロセスセンター(PC)の製造能力向上と、店内調理の価値のバランスを取りながら、緻密な開発・製造計画のもと、製造効率と商品価値を両立したモノづくりがさらに進んでいる。最新の動向を、実際に店舗を訪れ分析してみた。
※調査日:2024年8月1日 調査店舗:ヨークベニマル桑野店 文中の価格はすべて税抜

旧ライフフーズ軸に総菜SPAを長年志向

 ヨークベニマルは長年、SPAを「価値創造の源泉」に位置づけ、全社で製販一体の取り組みを追求してきたことで知られる。その中心にあるのが総菜で、商品企画・開発と原料調達・開発を起点に、品質管理を徹底した製造プロセスを経たうえで、魅力ある売場で魅力ある商品を提案する──という一連の流れを、すべて自社でコントロールしている。

ヨークベニマルの総菜
ヨークベニマルは製販一体の取り組みのなかで、総菜のSPA化を長年志向してきた(写真は本誌取材時のもの)

 かつ、その一つひとつのプロセスに並々ならぬこだわりを持っているのも特徴だ。たとえば総菜の開発・製造にあたっては食品添加物を極力使用せず、「うま味調味料」「合成着色料」など化学調味料も使用しない。さらに同一商品であっても、季節に応じて素材や味わいを変えることもあり、“食の楽しさ”を伝えることにも注力する。

 また製造に関しては、品質管理でとくに先進的な食品メーカー、キユーピー(東京都)の指導を受け、プロセスセンター(PC)でも店舗でも、徹底した品質管理システムを導入している。

 PCについては、福島県郡山市に「第1~第3ファクトリー」、宮城県川崎町に「仙台ファクトリー」の計4カ所を展開。商品ジャンルや機能別に各PCを使い分け、品質の高い商品を安定的かつ効率的に製造し、各店舗に供給する体制を整えている。

 SM業界全体で見ても先駆的といえるこうした取り組みのベースをつくったのは、かつて総菜子会社として機能していたライフフーズだ。その製造能力の高さは、ヨークベニマルの大髙善興名誉会長をして、「国内トップクラスの総菜製造小売業」と言わしめるほどだった。その後ライフフーズは22年にヨークベニマルに吸収合併され、同社に新設されたデリカ事業本部を核拠点に、総菜SPA化をさらに追求している。

和総菜をインストア化 、「副菜」で差別化を図る

 ここまでヨークベニマルの総菜戦略の要旨に触れてきた。では、そうしたSPA戦略のもと、実際に売場に並んでいる商品は競合に対してどのような優位性を発揮しているのか。

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