首都圏で静かに存在感を見せる
社長が店内を歩いていると、初老の女性客から声が掛かる。
「この前は、どうもありがとう」。
「こちらこそ」。
会話の中身は知る由もないが、両者の親近感は伝わってくる。
本部と創業店のそばに自宅を構える社長は、毎朝、散歩がてら公園でラジオ体操をしてから出勤する。女性は朝の仲間なのかもしれない。
創業93年の老舗企業は、お客との会話をとくに重視している。
意見投書箱の「お客様の声」を設置するだけでなく、「ご要望承り書」を全従業員が常に携行して、お客の意見を収集し、即座に手を打つ。
CS(顧客満足)の源泉は、ES(従業員満足)にあり、とばかりに従業員の教育や福利厚生にも厚く、この時代に数多の保養施設を保有し、従業員寮も完備している。
東京都、千葉県、埼玉県、茨城県に76店舗を展開するコモディイイダ(東京都/松澤志一社長)の2012年8月期の業績は、売上高905億円、経常利益36億円の増収増益。中期目標の同1000億円、同50億円も視野に入った。
一見、何の変哲もないように見える食品スーパー企業だが、地元密着・消費者重視の経営で大激戦区の首都圏で静かに存在感を示している。
『チェーンストアエイジ』誌2012年12月1日号
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