真剣勝負はいいものだ
テニスの大会に出場して得るものというのは決して少なくない。
まず、精神力が強くなり、集中力が増し、追い詰められても極度に緊張しなくなる。
そんな内面の強化に加えて、何より嬉しいのは、相手が私の弱点を見つけて、そこばかりを狙って攻めてきてくれることである。
スクールの練習や仲間内での試合では、遠慮や配慮から弱点だけが執拗に攻められるということはまずない。
ところが相手も勝ちたい真剣勝負の中では、赤の他人が必死になって自分の至らない部分を厳しく突いてくれる。
そんな素晴らしい機会なら参加費を払っても安いものだ。
そして、そのことが、やがては自分の上達につながるのだから、大会に出て、試合に出れば出るほど、うまくなるはずだ。
と、こんなことを書いているうちに思い出したのは、先日、60歳の若さで急逝した風間晃さんだ。
「他流試合は非常に良いものだよ」。
風間さんは、いつもこんなふうに話してくれ、「だからキミも自分の雑誌だけでなく、他紙誌に書くといい」と寄稿のチャンスをずいぶんくれたものだ。
そこで学んだのは、縦書き、横書き、1行当たりの文字数、字体、級数、段組み、デザイン…などの違いによって、文章の見え方がずいぶん違うということ。個々のメディアにフィットした書き方が存在するということだった。
ただ、そのことで自分の技術が上がったかどうかは、今をもって分からない。
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