第94回機能性表示制度届出ガイドラインのポイント
安倍晋三内閣が取り組む規制改革の目玉の一つ、食品の機能性表示制度の具体的な内容が固まった。
それに伴い消費者庁は、2013年6月28日公布の食品表示法に基づく、新食品表示制度の「食品表示基準」、および「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン構成」について説明会を開催し、全容が明らかになった。
制度の根幹である食品表示法による食品表示基準は、食品衛生法関係の5基準、JAS法関係の52基準、健康増進法関係の1基準、合計58項目の基準を1本に統合したもので、生活者が求める情報提供とメーカーや小売業など事業者の実行可能性の双方に分かりやすい基準とするという方針に基づいて策定された。ここでは食品の機能性表示基準に基づき、製品の届出に関するガイドラインのポイントを抜粋し紹介したい。
1.対象となる食品は?
機能性表示制度は、トクホ(特定保健用食品)などの特別用途食品、およびビタミン類やミネラル類の栄養機能食品、またアルコールを含む飲料、さらに脂質や飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウムの過剰摂取につながる食品(健康増進法施行規則で定める栄養素)を除く食品全般が対象となる。
2.機能性表示食品とは?
●疾病に罹患していない人(未成年や妊産婦などを除く)を対象とした食品
●機能性の関与成分によって健康維持、増進(疾病リスクの低減ではない)が期待できることを、科学的根拠に基づいて容器包装に表示している食品
※機能性関与成分……表示しようとする作用機序について、in vitro試験(体内と同様環境での人工的な試験)やin vivo試験(動物などの生体内試験)、臨床試験で考察されたもので、定量確認および定性確認が可能な成分。また、EPA、DHA、α-リノレン酸などのn-3系脂肪酸や、たんぱく質、食物繊維、ビタミンA、n-6系脂肪酸など
3.可能な機能性表示の範囲は?
●明らかに医薬品と誤認されるおそれのあるものはNG
●「診断」「予防」「治療」「処置」などの医学的な表現はNG
●健康の維持・増進の範囲であれば、身体の特定部位についての表現はOK
●トクホで認められている表現は、疾病リスクの低減になるものを除きOK
4.機能性表示制度で認められない表現例
①疾病の治療効果または、予防効果を暗示する表現
例「糖尿病の人に」「高血圧の人に」など
②健康の維持・増進の範囲を超えた意図的な健康増強の表現
例「肉体改造」「増毛」「美白」など
③科学的根拠に基づき説明されていない機能性表現
例限られた指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現など
5.安全性試験の実施および評価に関する報告資料について
報告資料は、英語で書かれたものである場合は、必ずしも日本語訳の資料を添付する必要はないが、英語以外の外国語で書かれた文献の場合は、文献全体を誤りのない(翻訳ソフトで機械的に翻訳したものでない)日本語で翻訳したものを原文と併せて添付する必要がある。
6.健康被害の情報収集体制
届出者は、届け出た食品によって発生した健康被害を消費者、医療従事者等からの連絡を受けるための体制を整えなければならない。また、その窓口は日本国内に設置し、適切な日本語で応対できる者を配置する必要がある。
7.生活者への表示および情報開示
機能性表示の内容に関する科学的根拠情報等は、消費者庁のウェブサイト等で詳細に情報開示される。
あらためて食品表示法第2条第10項によれば、機能性表示食品とは、「疾病に罹患していない者(中略)に対し、機能性関与成分によって健康の維持および増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減にかかるものを除く。)が期待できる旨を、科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品(特別用途食品、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料および(中略)健康増進法施行規則第11条第2項で定める栄養素の過剰な摂取につながる食品を除く。)(以下略)」とある。
あくまでも生活者に誤解を与えることなく機能を表示することが大前提の食品であることが定められている。
本制度の内容が固まったことで、今後は商品開発から店頭での情報提供、売場づくりへとステップが移ることになる。
ドラッグストアにとっては、新たな店舗機能向上へのチャンスとなることは間違いない。