小売業巻き込み、食品トレーのリサイクル、再生トレーの普及進めるエフピコとは
自社で商品を製造・供給するメーカーにとって環境対策は、避けては通れない経営課題としてずっと以前より直面してきたものだ。食品容器メーカー最大手のエフピコ(広島県/佐藤守正会長)はプラスチックを原料とすることから長年、環境問題に向き合い、供給先である食品小売企業と手を組むことで、サステナブルな事業の在り方を追求している。
30年以上前から独自のリサイクルを開始
エフピコが環境問題にアクションを起こし始めたのは30年以上も前に遡る。当時、米国では1980年代後半からマクドナルド(McDonald’s)のハンバーガーの包材に使用されていた発泡スチロール製原料「クラムシェル」が社会問題となり、紙製包材へと切り替えが進んだ。これを機に日本でも環境問題における企業の社会的責任に関心が集まった。
そこでエフピコは90年、発泡スチロール製食品トレー容器の回収ボックスを広島県福山市と大阪府大阪市の食品スーパー(SM)計6店舗に設置し、「エフピコ方式のリサイクル」を開始。回収した食品トレー容器から「トレーtoトレー」で再生した「エコトレー」を92年から販売している。回収ボックスの設置場所は2022年3月末時点で約1万カ所にまで増加している。
「エフピコ方式のリサイクル」は、食品トレー容器のみならず、08年から透明容器、11年からはPETボトルにも拡大させている。12年には回収したPETボトルから「ボトルtoトレー」で再生した透明トレー「エコAPET」の販売を開始した。エフピコグループでは年間約7万3000トンの使用済みPETボトルを処理しており、一部ではそのうち25%ほどがSMで回収されている。
「トレーtoトレー」や「ボトルtoトレー」のようなマテリアルリサイクルは、再生までのプロセスが簡素で、エネルギー負荷が低い。「エコトレー」や「エコAPET」は、原油から新たに製造される「バージントレー」と比べて二酸化炭素排出量を3割低減できる。21年度にはこれらエコ製品の販売を通じて年間17万トンの二酸化炭素排出量が削減された。エフピコの佐藤守正会長は「食品小売企業は環境に配慮した包装資材・消耗品を使用することによって、二酸化炭素排出量の削減に間接的に貢献できる」と説く。
エフピコから見て、食品小売企業のサステナビリティに取り組む姿勢は、この1年で大きく変わっているという。
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