相次ぐ値上げで消費者の「買い回り・価格優先」行動が加速……流通業が取るべき囲い込み策とは?

2022/12/22 05:55
鬼頭 一太 (電通リテールマーケティング)
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消費者のカテゴリ購買傾向を把握した商品政策を実行できるか

 価格訴求による他店への購買機会の流出、また自店における継続購入客においても、大容量商品を購入し、小分けで冷凍するといった節約志向の高まりによる消費行動の結果、売上減になるという状況は物価上昇下においては避けられません。そうした状況下で小売業が取るべき商品政策は、前回もお伝えしたとおり、自社顧客分析の結果を商品政策(MD)に反映することにほかならないと筆者は考えます。

 各カテゴリにおける顧客のブランド占有率を把握しながら、プライベートブランド(PB)やストアブランドを戦略的に投入することも重要となります。

 たとえば図表⑥のように、右上にあるカテゴリ「Heavy」かつ「LY(ロイヤル)」にPBが選定されれば顧客のカテゴリ支出の大半を自店で取り込むことができます。一方で、アルコールのようにそもそもブランドスイッチが起こりにくい特性のカテゴリに対する商品投下は非効率になります。分析を通じた見極めを行い、お客さまの購入品種を増やして買い回りの軸(マイストア)となるように関係性を構築できるかがポイントになります。

図表⑥ ※ロイヤルティ規定:総購入に占める特定ブランドの占有率、LY(ロイヤル):75%以上、SLY(セミロイヤル):50%以上、SW(スイッチャー):50%未満

 最後に、厳しい市場環境は今後も続きますが、保有するデータを情報化する力、情報を施策へ具現化できる力は競争力に直結します。自走に向けた支援を必要とされる事業社がございましたら、お気軽にご相談いただければ幸甚です。

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記事執筆者

鬼頭 一太 / 電通リテールマーケティング
ドラッグストアバイヤー職を経て2007年に電通リテールマーケティング入社。2013年まで同社CRM戦略企画部にてFMGC系クライアントの専任アナリスト、14年から全社営業統括を担務する

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