宅配と店舗の融合が進まない生協 福井県民生協だけが実現できる理由とは
宅配事業と店舗事業を主力とする生協だが、2つの事業間の連携は一部の地域生協を除いてあまり進んでいないのが実情だ。しかしネットとリアルの融合が注目されるなか、生協陣営にとって成長余地のある領域といえる。そんななか、同領域で先進的な存在として知られる、福井県民生活協同組合(福井県/松宮幹雄理事長:以下、福井県民生協)の取り組みを紹介する。
年間30万円以上を利用する「コア組合員」を増やす
2021年9月現在の福井県の人口は約76万人。1999年の約83万人をピークに減少の一途を辿る。しかし、そんななかでも福井県民生協は総事業高(営業収益に相当)を伸ばし続けている。2020年度は新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大の影響もあって対前年度比10%増の263億円で、ここ10年で1.3倍に拡大している。
福井県民生協の成長の原動力となっているのが、03年から進めてきた「事業ネットワーク戦略(NW戦略)」だ。きっかけは、それまで順調に伸長してきた総事業高が3年連続で伸び悩んだことだった。そこで、宅配、店舗、福祉事業の3つの事業で連携を図り、総合的に総事業高を伸ばしていくNW戦略へと舵を切ったのだ。
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