三越伊勢丹のデジタルシフトを推進! 百貨店らしい、デジタル子会社のアジャイル開発とは
顧客・店舗の声を生かした共創型開発
「YourFIT365」は8月28日のリリース直後から利用が相次いだ。三越伊勢丹HDによると、売場で靴を試着した買物客が購入に至る「決定率」は通常3割程度だが、「YourFIT365」で提案すると同5割に及ぶという。
利用者は増え続けている。21年3月、月間の計測者数は過去最高を記録した。伊勢丹新宿本店で3月に「YourFIT365」を利用して靴を購入した客の約2割がリピーターだった。21年3月時点での計測者数は、のちに同サービスを導入したメンズ館を含めて1万5000人に達している。
「YourFIT365」をリリース後、正式に設立されたIMDLは20年に入ると、中途採用者を募集してデジタル人材7人を採用。百貨店の現場経験者、中途採用者、そして外部パートナーの混成組織となった。
百貨店の社員が現場からの声をもとにIMDLに案件をあげる。その案件をもとに、プロダクトオーナーを中心とするチームが結成される。そのチームと連携しながら、IMDLの技術開発チームとIMSのエンジニアがプロダクト(システム)を作り上げるという開発の流れができあがった。
リリースされた後も、顧客の声、販売員の声を反映しながら、毎週毎週システムを改善し続ける。現場からも開発スピードや改善スピードの速さを実感する声があがり始めている。できあがったシステムを利用する百貨店スタッフのデジタルに対する考え方も変わりつつある。「そのような人が増えていけば、デジタル推進の取り組みがさらに加速するだろうと予測しています」と三部氏は期待する。