映像から広がる小売の「現場DX」 〜店舗の課題発見と改善事例〜

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映像から広がる小売の「現場DX」 〜店舗の課題発見と改善事例〜
西村宜昭氏

セーフィー株式会社
執行役員 営業本部本部長 兼 CRO
西村 宣昭 氏

 

店舗に必ず設置されている防犯カメラ。これを「クラウドカメラ」に置き換えると、いつでも・どこからでも映像を通じて店舗にアクセス可能になる。「DXを活用した店舗の見える化は、オペレーションなどの課題発見につながり、サービスの向上と効率化を推進する基盤となる」と話すのはクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を提案するセーフィー株式会社執行役員営業本部本部長兼CROの西村宣昭氏。映像データを活用した小売の「現場DX」について解説いただいた。

クラウドカメラが“第3の目”に

 セーフィーは、撮影した映像と音声をクラウド上にあげることでパソコンやスマートフォンからいつでも・どこでも映像を閲覧できるサービス。かつて店内に設置されるカメラは、主に防犯目的で利用されていたが、2019年頃からセーフィが急速に普及し始め、現在のクラウドカメラの導入台数は19.5万台に達した(2023年3月末)。近年、映像を解析・分析することにより、マーケティングやオペレーションに活用する動きが高まっているためだ。コロナ禍の外出自粛により現場に気軽に訪問できなくなったため、遠隔で現場の様子を確認できるセーフィーの需要が拡大した。

 以前からよく耳にしていたのは、スーパーバイザーやエリアマネージャーが、直接店舗を回ったり、現場から定期的に報告を受ける業務システムについてだった。こうした臨店には当然、移動のための時間や労力・コストが伴い、担当店舗の状況を常に把握するのは困難だ。また、現場の方々にとっても、本部に報告することは通常業務以外の作業が発生し、双方に負荷がかかってしまう。そこで、クラウドカメラを各店舗に配置後、カメラをエリアマネージャーの第3の目として活用。映像を通じて店舗の状況を把握し課題の発見につなげたり映像というエビデンスに基づいた適切な現場指導を行うなど店舗管理の効率化を進めることが可能になる。
セーフィーのクラウドカメラは、複数店舗を一括管理することもできる。エリアごとにタグを分けられるなど、使いやすい管理画面は好評で、スーパーバイザーはもちろんクラウドカメラを使って「遠隔店長」を実現した事例もある。

 首都圏で40店舗以上を展開するスーパーのオオゼキ様は映像を活用してエリアマネージャーの業務効率化を実現している。これまでは店舗まで足を運ぶ臨店により、店舗の課題、改善点を見つけてきたが、現在は、映像データを活用することで、リモートで複数店舗の売り上げを同時に確認。これにより店舗間の比較が容易となり、売り上げが好調な店舗の商品陳列をナレッジとして他店舗にも反映し売場の改善を図った。臨店による移動時間、コストの削減はもちろんのこと、より効率的な、課題発見・改善にもつなげている。従来に比べ業務が大きく効率化するため、人手不足の解消にもクラウドカメラが貢献しているという事例だ。

オペレーションの課題発見につながり従業員満足度にも寄与

 福岡県を中心に60店舗以上を展開するホームセンターのグッデイ様は、オペレーションの改善にクラウドカメラを活用している。ピークタイムには5名、それ以外の時間には3名など、レジに常にいるというルールで運用していた結果、ピークタイム以外の時間にレジの混雑発生がした場合、お客様を待たせてしまう状況を避けられなかった。また、ピークタイムに思ったより来客が少ないケースにおいてはレジの人員を稼働させてないというような事象が発生していた。そのようなケースにおいてグッデイ様では、レジの時間あたりの通過人数が基準値を超えた場合、GoogleChatに通知が飛ぶようシステムを設定。GoogleChatの通知には、右上のカメラのリンクが添付され、映像をすぐに確認できるようになっている。

 店長や社員は全員タブレットを携帯しており、それらの通知を店内のどこからでも確認できるようになった。 結果、レジでお客様をお待たせすることが減り顧客満足度向上に繋がったという効果も。レジ人数の調整が柔軟にできるようになったことで、品出しや売り場作りに人員の配置が可能となり、最終的には残業も減るなど、顧客満足度だけでなく、従業員の満足度も向上する結果となった。

グッデイ様/活用イメージ

エッジAIカメラ「Safie One(セーフィワン)」を提供

 弊社は昨年9月に端末にAIエンジンを搭載したエッジAIカメラの「Safie One(セーフィワン)」の提供を開始した。この製品を1台導入するだけで手軽に店舗管理に特化したAI活用を始めることができる。

 例えば、AIの人検知によりレジ混雑時や新製品に興味があり立ち止まっている顧客を手持ちのパソコンやスマートフォンに通知。前述したグッデイの事例のように残業時間短縮を実現するなどシフトの最適化をして顧客体験価値向上につなげることが可能だ。

 こうしたAI機能を活用し映像データの解析を行うことで、店舗が有する様々な課題にアプローチする。お客様の人流を解析することで、売り場でレイアウトの改善を図ったり入店数を可視化し、スタッフのシフトを最適化する取り組みが可能になる。

 店舗DXは1歩1歩着実に行うことが成功の鍵だ。スピーディに導入し効果を実感できるセーフィーの導入からDXを進めてみてほしい。

記事執筆者

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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