「田町」駅徒歩圏内、都心立地の小型店!「オーケー札の辻店」の売場を解説

2023/10/04 05:58
榎本 博之(経営コンサルタント事務所 アズライト代表)
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「高品質・EDLP」を柱とした強力な価格訴求力を武器に、首都圏では絶大の存在感を誇るオーケー(神奈川県)。同社は2023年5月10日、東京都港区に「オーケーストア札の辻店」(以下、札の辻店)をオープンした。JR山手線「田町」駅徒歩圏内という都心立地に出店した同店では、どのような売場づくりをしているのか。現地に足を運んだ。

「田町」駅至近にオープンした小型店

 600坪前後の広い売場を標準とし、集客力の高さと、まとめ買いによる客単価の高さが注目されることが多いオーケーだが、一方で売場面積200~300坪の小型店による出店も併せて進めており、今回視察した札ノ辻店は229.3坪(757.97㎡)と、小型店の位置づけとなる。

 札ノ辻店はJR「田町」駅、都営地下鉄「三田」駅から国道15号線を品川方面に4分ほど歩いた場所にある。店舗は区立図書館や産業振興センターなどが入居する港区の複合施設「札の辻スクエア」内に2階部分にあり、駐車場は有料で、駐輪場も初回利用に登録が必要など、通常の店舗とは異なる制約がある。

 周辺の競合店としては「サミットストア三田店」「ピーコックストア三田伊皿子店」ほか、都市型小型スーパーの「まいばすけっと」「マルエツプチ」が複数点在している。「田町」駅の反対側には2018年に再開発された一画にオフィス一体の複合施設「ムスブ田町」があり、スーパーマーケット「ライフムスブ田町店」が出店している。

 行政の複合施設内ということもあって、屋外看板による訴求はそれほど目立たず、1階フロア内でも「オーケー」の屋号は書かれた看板などは見当たらない。売場は2階部分への1フロアでの展開で、来店客の大半がエスカレーターで入店している。施設内にはエレベーターが4基あるものの、導線から外れており、アクセスしにくいためほとんど利用されていないようだ。

青果売場は効率重視?

 主要部門の売場を見ていこう。入口近くの青果は花卉、果物を売場のトップに配置している。冷蔵ケースではカットフルーツとシャインマスカット、対面反対側の多段棚のエンドではバナナ、突き出し陳列ではリンゴを大きく訴求していた。シャインマスカットは3SKU、リンゴは4SKUを取り扱っており、品揃えの奥深さがうまく演出されていた。

 最大の特徴は、商圏ニーズと周辺競合との対応からか、オーケーの既存店と比べても、ワンランク上のアイテムを充実させている点だ。たとえばシャインマスカットでは980円、1280円、1980円のラインを用意し、1980円(※)の商品は、一般的なスーパーマーケットでは化粧箱で販売するようなグレードのものを提供していた。

香川県産のシャインマスカットを1980円で販売

 リンゴでは、岩手県産「紅ロマン」などあまり見慣れない品種の展開が多かったが、「はしり(季節を先取りした商品であること)」と記載したPOPを添えて季節感を訴求し、トライアル購買を促していた。また、調理用のリンゴの取り扱いもあるなど、用途提案に結び付けるような販売促進を行っている点も目を引いた。バナナも調理用の取り扱いがあり、品揃えのアクセントとなっていた。

 野菜は相場が高騰していることもあって無理な価格訴求は行っておらず、2ケタ売価のアイテムはほとんど見られなかった。トマトの定番はレギュラー店舗と同様、「カゴメ」の「高リコピントマト」のような、いわゆるプレパック商品をうまく活用し、作業負担を軽減していた。

「カゴメ」の「高リコピントマト」のような、いわゆる「プレパック」商品を導入し、作業負担を軽減している

 葉物も効率性を重視してか、少量サイズを取り扱っていない。京野菜や有機野菜の取り扱いはあるものの、あまりスペースは割かず、品揃え程度の位置づけとなっている。キャベツや大根などの1/2サイズは1玉、あるいは1本価格の半額設定となっており、少量購入による割高感は発生していない。

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