鳥貴族の救世主?トリキバーガー大井町店オープン!「ハンバーガー」業態に進出する理由と3つの差別化戦略とは

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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トリキバーガーの差別化戦略

 飲食店ビジネスの多くが苦境に陥る中で、テイクアウトの比率が高いハンバーガーチェーンは堅調だ。日本マクドナルドホールディングスの2020年12月期連結売上高は2883億円で、5期連続の増収と好調を続けている。なお同社は、今期決算に関しても直近の業績好調を受け、売上高予想を3120億円(前年比108.2%)に上方修正している。

 ただし、市場規模は伸びているものの、ハンバーガーチェーン業界は典型的な「レッドオーシャン」だ。業界の雄マクドナルドに加え、モスバーガー、フレッシュネスバーガー、さらには高付加価値帯でもクアアイナ、バーガーキングなど多くの競合がしのぎを削っており、ビーフバーガーに限れば、入り込む余地はないように見える。

 そこでトリキバーガーが掲げるのが、次の3つの差別化戦略だ。

 一つはメーン食材がチキンであることだ。アメリカでは、ジョージア州を拠点とするチキンバーガー専門店のChick-fil-A(チックフィレイ)が業績を大きく伸ばしている。昨今のヘルシー志向が人気のカギとされており、この波はいずれ日本にやってくる、と鳥貴族HDは予測している。

 二つ目は国産素材だ。メーン食材の鶏肉だけでなく、バンズの小麦・レタス・トマト、さらにはソースなどの調味料などすべての食材で基本的に国内産を使用している。昨今高まる食の安全へのニーズに応える施策だ。

 三つ目は均一価格だ。トリキバーガーは、基本メニューのセット価格を590円に設定(朝メニューは490円)、お手頃価格で高付加価値のチキンバーガーを提供する。
これら3つは、鳥貴族事業で30年にわたり培われてきたコンセプトでもある。鳥貴族とトリキバーガーがシナジーを発揮しつつ、中長期的な成長をめざすのが同グループの戦略だ。

 店舗あたり年商2億を目標に据えるトリキバーガー。3カ年で直営10〜20店舗体制を構築し、将来的には国内1000店舗をめざす。3カ年以降にはフランチャイズ導入体制も構築する予定だ。競合の多いハンバーガー業態で、鳥貴族で培った地力がどう通用していくのか、今後に注目だ。

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