コロナ時代のスーパーマーケット「イトーヨーカドー新田店」の新しい取り組みとは
地域密着型SMをめざして
今回の建て替えに際し、周辺住民への事前調査を行ったところ、「ついでに買える日用品や、ちょっとした肌着やキッチン用品なども置いてほしい」といった要望が寄せられた。食品と日用品を一緒に取り扱う店舗が周辺にはなく、GMSからSMに転換されることへの不安もあったという。同社では要望のあった商品については、オープン時点で可能な限りを取り揃えた。ワンストップショッピングの利便性を訴求することで、地域住民からの支持を集める狙いだ。
地域の特性に合わせた施策としてはほかに、メーン顧客層のひとつであるシニア層の「いいものをちょっとだけ食べたい」というニーズに合わせ、3貫入りの寿司や少量パックの刺身などを販売する。これはシニア層のニーズを満たすだけでなく、同じくメーン顧客層である仕事帰りの顧客の“プラス一品”の購入を後押しし、客単価を上げる施策でもある。
また地域柄、自転車や徒歩での来店が多いことから、導線を増やすために住宅街に面した建物裏手に入口を新しく設けた。裏手入口はシニア層がアクセスしやすく、入ってすぐにシニアからの需要が高い地場野菜コーナーを配置した。反対に駅方面の入口には、入ってすぐにデリカコーナーを設け、駅から流れてくる仕事帰りの顧客が素早く総菜を購入できるようにした。
コロナ禍でのオープンになったことや、GMSからSMへの転換など、新田店の開店については「考えなければならないこと、配慮することが多かった」と川崎久美子店長。「旧店同様、新田という街の中でシンボルになれるよう、住民の声を聴きながら生活に寄り添ったSMを作っていきたい」とも語った。