店舗レポート スーパーセンターオークワ掛川店にみるPBと総菜による差別化策

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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コロナ禍に対応した個食商品も展開

 農産売場では、山形県鶴岡市伝統の枝豆である「だだちゃ豆」などのPB商品を売場各所に展開するほか、単身世帯や高齢者にも買いやすい少量サイズの商品やカットサラダを充実させた。とくにカットサラダは年間を通して一定の金額で仕入れているため相場の変動を受けにくく、他店舗でも売場を広げているという。

 オークワの“看板部門”である水産売場では、オークワプレミアムの「Mowi (モウイ)サーモン」などのこだわり商品を取り扱うほか、刺身や寿司を強化した。とくに最近はコロナ禍で家族で1つの大皿から取り分けるスタイルが敬遠される傾向にあるため、2~3人前の大容量商品ではなく、1人前の商品を多く取り扱っている。水産部門における刺身・寿司の売上高構成比は年々高まっており、掛川店では約30%まで高める考えだ。

 刺身・寿司を強化する一方、対面加工コーナーも設け、産直の丸魚など鮮度感のある商品も充実させている。「新鮮な丸魚を取り扱うのは、売場全体で鮮度の高さをアピールするためのイメージ戦略でもある。鮮度の高い丸魚があるからこそ、刺身・寿司の鮮度に対する信頼も得やすい」(水産部門担当者)。

 畜産売場では、店内製造のローストビーフなど、酒のおつまみになるような商品を充実させたほか、ファミリー層向けに大容量の商品を増やしている。また、近年は健康志向の高まりから「大豆ミート」のような植物性の代替肉の売上が伸長しており、掛川店でもコーナー化した。そのほか、コロナ禍の影響で個食需要が高まっていることから、秋以降は1人前の鍋セットを強化する考えだ。

 これまで見てきたように、掛川店ではPBや総菜を中心とする独自商品を積極的に提案するほか、一部の売場ではコロナ禍で生まれた新たな需要への対応も見られる。また、掛川店ではオープン時こそ有人レジを使用していたものの、通常は完全セルフレジとセミセルフレジのみの対応となり、今後の新規出店や改装の際は従来型の有人レジは導入しない方針だ。これもコロナ禍で人との接触をできるだけ避けたいというニーズに応えたものといえる。

 現在、和歌山県や奈良県を中心に1府7県で店舗を展開するオークワ。今後の静岡県内への出店は未定だが、「配送拠点の立地上の問題から、掛川店より東部での出店の可能性は低い」(広報担当者)とのことで、静岡県西部で徐々に店舗数を増やしてドミナントを構築し、静岡県での売上アップをめざしたい考えだ。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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