「スーパー三和ラゾーナ川崎店」売場分析後編
繁盛店が陥るジレンマとは

2019/05/06 05:00

首都圏トップクラスの売上を誇る「スーパー三和ラゾーナ川崎店」(神奈川県川崎市)。ショッピングセンター内という立地を生かして集めたお客に対し、同店ではどんな商品政策を展開していくのか。レポートの後編では、インストアベーカリー、日配、酒類、そして加工食品の売場を解説していく。※本文中の価格はすべて本体価格

売場特徴③インストアベーカリー、和・洋日配
チーズへのこだわりが生かされた
売場配置と品揃え

 インストアベーカリーは、店舗を正面から見て右サイドの入口付近で、独立したかたちで展開する。こちらの商品構成もオーソドックスそのもので、「みず穂の恵み」(1斤325円)、「ホテルパン」(1斤275円)のほか、「バケット」「バタール」など食事パンの売り込みに力を入れているようだ。
 毎週木曜には「カレーパン」「ドーナツ」「メロンパン」など約60SKUの調理パンを100円均一セールで販売。ベーカリー専用レジを配置し、精算が独立しているので、気軽に購入できるのが強みで、調査時も多くのお客が列をなしていた。
 和日配は、青果から精肉に続く主通路回りで売場展開する。「麺」「漬物」「豆腐」といった具合に、カテゴリー別に独立させており、それぞれ個性を際立たせるような売場としているのが特徴だ。
 とくに扱いを強化しているのが「豆腐」で、「むつみ」を軸に「タカノフーズ」「太子食品」「男前豆腐」「三和豆水庵」のほか、京都の「伊賀屋」「藤野」なども品揃えする。また、海老名市の「富塚商事」、秦野市の「丹沢大山五右衛門」、町田市の「丸昌豆腐」、静岡県富士市の「町田食品」など、ローカルな豆腐店の商品も豊富に揃え、まさに三和の地域密着思想を具現化したような売場となっている。
 洋日配は総菜、パン売場と連動させたかたちで展開する。ヨーグルトコーナー付近では、「北海道→三和」と記されたサインをエンドに掲げ、北海道産の商品を集めてコーナー展開、「花畑牧場」「小林牧場」「長沼あいす」「ノースプレインファーム」「牧家のチーズ」などを並べていた。三和は伝統的にチーズへのこだわりがある企業であり、ラゾーナ川崎店もそのノウハウが生かされた売場と品揃えとなっている。

「スーパー三和ラゾーナ川崎店」のレイアウト図(筆者作成)
「スーパー三和ラゾーナ川崎店」のレイアウト図(筆者作成)。スーパーの王道とも言えるオーソドックスな売場配置だ

売場特徴④加工食品・酒類
加工食品は売れ筋商品を売り込め
エンドはテーマ別に販促

 三和は質感を重視しながら価格訴求ができることを強みとしてきたチェーンである。そのノウハウが最も生かされているのが加工食品だ。
 週末のチラシが生鮮重視であるため、加工食品は定番を中心とした構成で、ゴンドラエンドでの訴求を重視しているようだ。エンドはほぼ固定化されており、「サラダ」「パスタ」「カレー」「中華」「寿司」など料理別のテーマで商品を訴求している。
 定番売場では、棚上段でこだわり商品を配置。三和にはPB商品がないので、商品構成はバラエティに富んでおり、定番商品を「期間限定」「毎日がお買いとく」と記した値札を添え安さをアピールする。レジ前に配置した菓子売場は、全体的に絞り込んだ構成であるが、「米菓」「大袋」の売り込みを強化しているようだ。
 酒類売場もほかの売場と同じくオーソドックスな配置と品揃えで、焼酎は「森伊蔵」「百年の孤独」などプレミアム焼酎も扱う。ワインも価格訴求品からワインセラーの高額商品まで幅広い品揃えで、フランス・イタリア産の「金賞ワイン」を価格訴求品として価格で提供。こだわり商品と売れ筋商品の組み合わせが巧みである。

三和は、質感を重視しながら価格訴求ができることを強みとしてきたチェーンと言える(写真は「スーパー三和イーアス高尾店」の青果売場)
三和は、質感を重視しながら価格訴求ができることを強みとしてきたチェーンと言える(写真は「スーパー三和イーアス高尾店」の青果売場)

まとめ
繁盛店には繁盛店のジレンマがある?

 ラゾーナ川崎店の競合状況を見てみると、ショッピングセンター内の目と鼻の先に「魚の北辰」「京都八百一」といった生鮮の専門店があるものの、三和とは販売スタイルが異なるため大きな脅威ではなさそうだ。そのほか駅周辺にも目立った競合店は見当たらず、このエリアは三和の独占状態であると言える。
 1週間を通して売場を見ていると、平日と週末で雰囲気が明らかに異なるのがわかる。これは、週末にチラシ投入があり、「ポイント5倍セール」や生鮮の価格訴求を強めていることによるものと思われる。客層も週末は夫婦連れや男性客が多く、平日とは違った空気がある。
 ラゾーナ川崎店は開店して13年経過しているが、開店時と同様に売場全体が商品補充に追われている印象を受ける。「売れる物を売る」という仕事スタイルは、開店当初から変わっていないようだ。
 部分的な変更は行っているものの、売場配置も開店時からあまり変化していない。これだけお客が入ると、売場を変化させるのが難しいのだろう。現状維持を優先する意識が芽生えてしまうのは当然であり、逆に言えば現状維持ほど難しいことはないのかもしれない。繁盛店になればなるほどこのジレンマがあり、店としては保守的になっていくのだろう。難しい課題である。

 なぜこの店はお客が集まるのか。その魅力は何か。立地は申し分なく、生鮮の鮮度、品揃え、価格などは無難な印象で、価格訴求志向も強い。チラシも生鮮中心の魅力ある構成となっている。オーソドックスで安定感のある売場に対する信頼がこの店の最大の強みなのかもしれない。

【企業概要】
本社所在地  東京都町田市金森4-1-2
設立      1964年9月
代表者    小山克己
店舗     三和57店舗、フード16店舗
営業収益   1610億円(2018年3月実績)

【店舗概要】
所在地    神奈川県川崎市幸区堀川町72-1
売場面積   約700坪(歩測)
開店日    2006年9月28日
駐車台数   約2000台
営業時間   10:00~23:00

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