早くも3店舗体制に! ロピアの“青森戦略”の成否を現地で考察してみた
ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)※は2025年2月26日、青森県弘前市に「ロピア弘前店」(以下、弘前店)をオープンした。その約3カ月前、24年12月にも「ロピア青森店」(青森市:以下、青森店)を出店しており、24年8月オープンの「ロピア五所川原店」(五所川原市)とあわせ早くも県内3店舗体制となっている。
人口減少率が47都道府県中2位(総務省調べ)と人口流出が止まらない青森県。難しい環境下、ロピアはどのような店づくりをしているのか。
※青森店、弘前店および両店が入る商業施設「CiiNA CiiNA」を実際に運営するのは、OICグループ傘下で食品スーパー運営や商業施設管理を手掛けるFirsto(神奈川県/相川博史社長)。本稿ではFirstoを含む「ロピア」屋号店舗の運営主体を「ロピア」と総称
GMS店舗をどう再生するか
今回調査したのは、24年12月オープンの青森店、25年2月に開店した弘前店の2店舗だ。両店ともロピア親会社のOICグループ(神奈川県/髙木勇輔代表)がイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)から事業承継して開業した商業施設「CiiNACiiNA(シーナシーナ)」の核店舗の位置づけだ。

●開店日: 2024年12月10日
●営業時間: 9:00~20:00
●所在地: 青森県青森市浜田1-14-1 CiiNA CiiNA 青森1F
●売場面積: 734坪
●アクセス: JR線「青森」駅からクルマで約12分

●開店日: 2025年2月26日
●営業時間: 9:00~20:00
●所在地: 青森県弘前市大字駅前3-2-1 CiiNA CiiNA 弘前B1F
●売場面積: 630坪
●アクセス: JR線「弘前」駅から徒歩約9分
地元メディアの報道によると、青森店の売場面積は東北エリアで最大級の734坪、弘前店の売場面積は630坪。売場の動線が青森店は右回り、弘前店は左回りと異なっているものの、精肉を核部門として量販するロピアの常套手段の売場としては、両店で大きな違いは見られなかった。

2店舗とも、これまでのロピアの標準モデルがベースとなっており、細かなところで地域ならではの取り組みもあるが、真新しい特別なものや奇をてらったものは総じて見受けられなかった。
イトーヨーカ堂撤退店舗へのロピアの出店は、「館の再生」という観点でも関心を集めている。
そもそも、ロピアの商品構成は総合スーパー(GMS)を主体とする「イトーヨーカドー」と大きく異なる。青森店や弘前店は元来強みとする精肉を中心に、価値ある商品で安さを強調する“ロピア流”の商品政策(MD)となっている。青森店で展開されていたギフトコーナーを除いては、イトーヨーカドー時代の売場を引き継ぐようなものはほとんど見られなかった。
ロピアは既存の食品スーパー(SM)とは一線を画した手法で、これまでローカルでも多くの支持を獲得してきた。青森店や弘前店でも同様に、広域から多くのお客を呼び込み、客数は十分にとれるだろう。
ただし、青森県のようなローカルエリアにおいては、週末はヤングファミリー層などの来店が期待できる一方、平日はシニア層の比率が都市部と比較して圧倒的に高い。購入されている量目やバスケット単価は、都市部にある店舗よりも少ないはずだ。
そうした環境を踏まえてか、青森店では、鮮度の維持や回転率を考慮して商品の陳列数量を調整しており、それほど商品を多く並べなくてもボリューム感が出るような陳列の工夫も見られた。
今回の2店舗は、入居する商業施設「CiiNA CiiNA」の運営もロピアが担っていることも注目ポイントだ。
とくに「CiiNA CiiNA 弘前」では空き区画がまだ目立ち、SMの「ロピア」には多くのお客がいたものの、館全体で考えると客数は足りないといっていい。都市圏の商業施設では、子供の遊び場やゲームセンターなど、時間消費型のスペースを設けるケースが多い。
ロピアが今後どのようなテナントを誘致するのかはまだみえないが、館全体の客数の少なさが成長に向けた不確定要素になるかもしれない。
なお、イトーヨーカ堂からは店舗のみならず従業員も承継している。調査期間中、2店舗で買物をしたところ、
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