100 円特化か100 円にこだわらず新業態開発か?ダイソーVS セリアのゆくえ

文:中井 彰人 (株式会社nakaja labnakaja lab代表取締役/流通アナリスト)
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市場規模1兆円の大台に達した100円ショップ。昨今のインフレ下で消費者からの根強い支持を集めている一方、原材料価格が高騰するなかで経営環境は厳しさを増している。100円ショップ各社はどのような成長戦略を描き、著しく寡占化された市場をどう戦い抜こうとしているのか。流通アナリストの中井彰人氏が解説する。

セリアの台頭が競争構図に変化及ぼす

 100円ショップ市場は、大創産業(広島県/矢野靖二社長)、セリア(岐阜県/河合映治社長)、キャンドゥ(東京都/城戸一弥社長)、ワッツ(大阪府/平岡史生社長)の4社でおよそ9割超のシェアを有する“超寡占”状態にある。ダイヤモンド・チェーンストアの調べによれば(2024年10月1日号特集「市場占有率2024」より)、23年度の大創産業のシェアは約62%、セリアが約22%、キャンドゥが約8%、ワッツが約6%の順となっている。

 それとは別に、近年はアパレル大手のパルグループホールディングス(大阪府/井上隆太社長)が展開する300円ショップの「3COINS」が台頭。同事業単体の24年2月期の売上高は630億円で、ワッツを超える売上規模に上っている点も言及しておきたい。

「THREEPPY」「Standard Products」看板
大創産業の「THREEPPY」「Standard Products」のような付加価値型フォーマットの登場は、生活雑貨市場全体の競争環境を変化させる可能性をはらむ

 振り返れば、2010年頃までは、100円ショップのパイオニア的存在である大創産業が圧倒的なシェアのもとトップを独走し、キャンドゥ、セリア、ワッツの3社がかなり離れて第2グループを形成するという構図だった。

 しかし10年代に入ると、セリアが徐々に存在感を高めていく。同社は他社に先駆けてPOSデータを活用した販売管理システムを構築。「Color the days 日常を彩る。」をコンセプトに掲げ、女性客を中心に顧客のニーズに即した商品・店舗開発を行い急成長を遂げていった。21年度には大創産業(5493億円)に次ぐ2081億円の売上高をたたき出し、キャンドゥとワッツを突き放す勢いを見せるようになった。そこから現在に至るまで、大創産業とセリアが2大勢力として競合、そこからかなりの距離を空けてキャンドゥとワッツが続くという構図が続いている(図表)

キャンドゥ、“イオン入り”の背景

 このように寡占化が極端に進行した100円ショップ市場だが、21年10月に大きなニュースが飛び込んできた。イオン(千葉県/吉田昭夫社長)がキャンドゥをTOB(株式公開買い付け)によって連結子会社化したのだ。

 イオングループは傘下にショッピングモールや総合スーパー(GMS)、食品スーパー(SM)、ドラッグストア(DgS)などあらゆる業態を抱えている。自力でのこれ以上の出店拡大に限界を感じていたキャンドゥとしては、イオングループ入りによって

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中井 彰人 / 株式会社nakaja lab nakaja lab代表取締役/流通アナリスト
みずほ銀行産業調査部シニアアナリスト(12年間)を経て、2016年より流通アナリストとして独立。 2018年3月、株式会社nakaja labを設立、代表取締役に就任、コンサル、執筆、講演等で活動中。 2020年9月Yahoo!ニュース公式コメンテーター就任(2022年よりオーサー兼任)。 2021年8月、技術評論社より著書「図解即戦力 小売業界」発刊。現在、DCSオンライン他、月刊連載4本、及び、マスコミへの知見提供を実施中。起業支援、地方創生支援もライフワークとしている。

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