商品開発の歴史

桜井 多恵子(チェーンストア経営システムコンサルタント)
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チェーンのPBはNBより歴史が古い

 チェーンストアのプライベートブランド(PB)品は1844年の英国生協による“Rochdale宣言”から始まる。実際にはチェーンストアより先にPBが開発されて、それを販売する拠点として店舗が必要になり、チェーンストアができたのである。このころにはまだ全国規模で知名度の高い製造業のナショナルブランド(NB)は存在しなかった。

 18世紀半ばに英国で起こった産業革命は新しい動力の創造により、製鉄から紡績まで製造業に多大な技術革新をもたらした。まず原料が均質化し、それを材料として製造される製品は品質が安定した規格品となり、大量生産が可能になったのである。

チェーンストアのPB品は1844年の英国生協による“Rochdale宣言”から始まるが、日本のPB開発の歴史は17世紀、江戸時代から商人がバーティカルマーチャンダイジングによるPB開発を主導していた(写真はイメージ、iStockよりDzmitry Dzemidovich)

 ところが産業革命が軌道に乗り100年以上が経過すると、プラス効果だけでなくマイナス効果が表面化してきた。そのころには大規模原料製造業が出現していたが、彼らは重厚長大投資の減価償却のために、一定の生産量を維持する必要に迫られた。そのため大規模原料製造業は実需を上回る製品開発を多様化し、製品製造業と問屋卸売業を系列化した。その結果小売業はその下請け配給業者へと堕落することになったのである。

 それが今でも使われる「川上から川下への流れ」である。製品の品質は原材料製造業、そして次の段階の製品製造業が決定権を持ち、問屋を通して小売業が仕入れ、お客に販売する形式である。

 このシステムの欠点は

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