牛肉MD、1人当たり購入金額や購入数量は減少傾向 週末、年末などの需要期の動きは活発
多くの食品の店頭価格が高値で推移する中で、精肉の中でも牛肉は、国産・輸入ともに高値トレンドが続き、消費動向は大きく影響を受けている。一方週末の高級肉志向や、年末年始の需要は底堅い。こうした中で、店頭では食べ方提案の多様化や販促施策の展開など、消費の喚起に向けたさまざまな取り組みを強化している。
売場を活性化させる工夫が必要
牛肉市場はコロナ禍の影響による消費減少に続き、為替相場などの影響による値上げトレンドを受け、引き続き家庭での消費は伸び悩む傾向となっている。
総務省の「家計調査」によると、2023年の牛肉の家計消費(全国1人当たり)は、購入金額では、1月と4月を除き、前年を下回って推移。購入数量も、6月、8月、12月を除き、前年を下回って推移している【図】。

時期ごとに見ていくと、8月は国産牛肉価格が落ち着き、お盆時期の焼き肉需要、週末の高単価商品の好調につながった。12月も年末の需要期に向けたしゃぶしゃぶ、すき焼き訴求を展開したブランド牛、和牛の売上は好調な動きを見せた。
しかし、その他の時期を含む通年で見ると、国産品、輸入品いずれも相場が高かったため、牛肉と比較して割安感のある豚肉、鶏肉へ需要がシフトする傾向も出ている。
購入単価が高まっていることが売上アップにつながる面もあるが、一方、購入数量が減少することで、全体の金額ベースでの伸びが抑制されるという側面もある。
こうした中で、消費者には買い控えの動きも見られるが、スーパーマーケットの牛肉コーナーでは少しでも消費を喚起するための売場訴求を強化している。食べ方提案については、ステーキや焼き肉、すき焼きだけでなく、比較的手が出やすい小間切れや、切り落としを使った煮物や韓国風メニューを訴求するなど、さまざまな工夫が行われている。
また、ちょっとした贅沢を楽しみたい週末などの需要に向けて、ブロック肉や焼き肉のセット商品を品揃えするなど、タイミングにマッチした店頭訴求もますます重要となっていきそうだ。
キャンペーン訴求や新しい食べ方提案も重要
メーカーやマーケティング団体も牛肉の需要喚起に向けた動きを活発化しているので注目していきたい。
米国食肉輸出連合会(USMEF)では、価格以外の部分でアメリカン・ビーフの魅力を高める工夫を続けている。そのひとつが消費者キャンペーンで、7月31日までを期間とする恒例の「春の店頭キャンペーン」を今期も実施。アメリカン・ビーフの商材、アメリカン・ビーフそのもの、あるいはアメリカン・ビーフを主原料とした総菜を購入した人を対象に、抽選でアメリカン・ビーフのステーキ肉あるいはオリジナルコットンエコバッグが当たるという内容だ。
また丸大食品では、韓国料理が手軽に楽しめる「韓美食堂」シリーズを展開し、人気料理の「プデチゲ」「参鶏湯」などのメニューを提案。牛肉売場の需要喚起につながる商品としては、最近関心が高まっている「ソルロンタン」を投入している。
牛肉と長ねぎだけで簡単につくることができ、ごはんを加えると「ソルロンクッパ」としても楽しめる。パッケージでは、少ない材料で簡単につくれることをアピールして、初めての人でも手に取りやすくした。
こうしたこれまでなかった食べ方につながる商品を牛肉売場で訴求することも、関連販売の手法として効果的だ。
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