PC活用で「差異化」された商品開発進める平和堂の精肉戦略
平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)の精肉部門は、競合他社がマネできない「差異化」をコンセプトにした商品政策(MD)を打ち出している。プライベートブランド(PB)の牛肉、豚肉などに力を入れるほか、それらを加工した半調理品も充実した品揃えで展開。また、プロセスセンター(PC)と店内加工、それぞれの強みを生かした供給体制を構築している。
「差異化」を軸にしたMDを展開
平和堂は近畿、東海、北陸エリアで総合スーパー(GMS)と食品スーパー(SM)を展開している。GMSの「アル・プラザ」、SMの「フレンドマート」という主力2業態によりドミナントエリアを構築、とくに本社を構える滋賀県で強い支持を獲得している。
しかし近年、商圏では競争が激しくなっている。東海、北陸エリアでは生鮮食品を強化したドラッグストア(DgS)、またディスカウントストアといった価格に強みがある業態が勢力を増している。関西でも同様で、生鮮食品を圧倒的な安さで販売するロピア(神奈川県/髙木勇輔代表取締役)は、「アル・プラザ香里園」(大阪府寝屋川市)の真横に関西1号店を開業。また本拠、滋賀県でも他県から生鮮強化型のDgSが進出し、急速に店数を増やしているのだ。
![平和堂の精肉「あじわい牛」売場](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2023/02/dcs230215_SP_Meat_CaseStudy-4_eiwado_00.jpg)
そんななか、平和堂の精肉部門では「差異化」をテーマにした品揃えを強化している。「差異化」とは、競合他社がマネできない商品を開発することで、新たな市場を創造することを指す。たとえば、生産者との独自契約のもと展開する「あじわい牛」や「あじわい豚」「健美味どり」といった精肉PBが、差異化をめざすMDの代表例だ。配合飼料や肥育期間にもこだわることで、高品質の商品を安定的に供給できる体制を築いている。
また平和堂が現在、推進する中期経営計画においては、「健康」「子育て」「高齢者」という3テーマのもと、各種商品、サービス等を充実する。同方針のもと精肉部門でも、ユニークな品揃え、売場づくりを行っている。
ここ数年の同社精肉部門の業績に目を向けると、2023年2月期は、1月初旬までの実績で対前期比2%増で推移。精肉部門の売上高構成比(以下、21年度)は、生肉を含む「精肉」78.1%、ギフト1.6%、ハム・ソーセージ17.7%。そのうち精肉は、牛肉31.1%、豚肉29.2%、鶏肉29.2%、半調理品の「ミートプラス」4%、ローストビーフはじめ「生食」が4.2%となっている。
![平和堂生鮮食品事業部精肉課課長の西川隆久氏](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2023/02/dcs230215_SP_Meat_CaseStudy-4_eiwado_01.jpg)
コロナ禍で、消費者ニーズは大きく変化していて、平和堂の精肉部門の販売動向もその影響を受けている。かつて平和堂にとって精肉部門は収益を確保する部門の位置づけだった。だが「最近は、
精肉MDの新常識! の新着記事
-
2023/02/14
知識が利益を生む!精肉バイヤーは「肉のコンシェルジュ」になるべき理由3つの戦法とは -
2023/02/14
価格と品揃えの広さと深さで他を圧倒!オーケーの精肉売場を徹底分析 -
2023/02/14
精肉に強い食品スーパーはどこ?消費者調査でわかる主要8スーパーの実力と支持される理由 -
2023/02/13
牛一頭買いとプロセスセンター間の連携で実現するライフの精肉MD -
2023/02/13
安さで勝負するドラッグストア「ゲンキーの精肉売場 昨対売上15%増の秘密とは -
2023/02/13
輸入肉に加え、国産豚も相場急騰!原価高の精肉部門がやるべきこと
この特集の一覧はこちら [12記事]
![精肉MDの新常識!](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/02/1cbff424e1a83bf610adf81a2ccfe8d8.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=4813ac7b6ccc2b66651643983edc38fa)
平和堂の記事ランキング
- 2024-03-11ストアオブザイヤー2024、11~20位を一挙公開!話題の店舗が続々!
- 2023-12-05平和堂小型新業態「スマート」、5.2 億円で利益を出す売場づくり
- 2023-12-18平和堂、29億円投じ「ビバシティ彦根」改装
- 2021-10-22平和堂、購買データと食事管理アプリの連携を実証実験、レシピなど提案
- 2021-12-21追悼 平和堂 夏原平和会長 生前語った「流通業に対する思い」
- 2022-04-19ヤマダとアークランドの共同SCにオープンした平和堂ビバホーム一宮店の売場づくりとは
- 2022-07-08小売業の衛生対策 来店客、従業員の安全安心を第一に各種衛生対策に力を入れる
- 2023-02-10PC活用で「差異化」された商品開発進める平和堂の精肉戦略
- 2023-05-25売場、商品、衣食住、DXそして地域共創!平和堂が行う全方位改革の全貌とは
- 2023-05-27EDLP比率85%に拡大!平和堂、一般食品戦略と新たな発注システムの成果は
関連記事ランキング
- 2024-06-26上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大
- 2024-07-11リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!
- 2024-07-01スマホ1つでレジまで…進化するスーパーマーケットアプリの現在地
- 2024-06-17フードウェイ上大岡mioka店の売場づくりを徹底解説!横浜3店目
- 2024-07-12「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略
- 2024-07-05人手不足時代に小売業がとるべき2つのアクションとは
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
- 2024-07-01ヤオコーの南北政策の旗艦店、伊奈店のシニア対応MD徹底分析
- 2024-06-18ローカルスーパー生き残りの一手!オギノHDが青果卸買収のねらい
- 2024-06-17ヤオコー、バローHD、サミット 24年3月期決算分析と今期の戦略