価格と尖ったMDに頼らずに利益を稼ぐイトーヨーカ堂の精肉戦略
首都圏を中心に総合スーパー(GMS)を運営するイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)は過度な価格訴求や尖った商品政策(MD)に頼らず、高品質でおいしい商品が毎日並ぶ精肉売場づくりを重視する。そのための施策として、生産者との独自契約によるプライベートブランド(PB)商品の開発や、ヤングファミリー層に訴求するMDの実践、プロセスセンター(PC)の有効活用を打ち出している。
リピーター獲得につなげる売場をつくる
イトーヨーカ堂では、生鮮3部門のなかでも、精肉部門を「利益を生み出す部門」と位置づけている。同社精肉部門の2022年12月の既存店売上高は、計画通り推移していて、同部門の売上が食品売上高全体に占める割合は約13%と大きい。

精肉部門出身で現在は執行役員食品事業部部長を務める荒谷一徳氏は、これまでの食肉業界の変遷について「2000年代の産地偽装問題を機にトレーサビリティの制度などが整備され、仕入れの構造がきちんと組み立て直されたことで、正しく仕入れ、正しく加工し、正しく販売すれば、適正な利益を得られるようになってきた」と振り返る。1ケース当たりの量にばらつきがある青果・鮮魚部門とは異なり、1キロ単位で仕入れたものを100グラム単位に加工して販売する精肉は、歩留まりを計算でき、値入が一様で、仕組み化によって利益を出しやすいカテゴリーなのだという。
他方で、いわゆる食の欧米化の流れもあり、精肉や肉総菜はヤングファミリー層をはじめ、あらゆる年代層の需要を取り込むうえで、食品スーパー(SM)にとってとくに重要なカテゴリーの1つになっている。また、近年はロピア(神奈川県/髙木勇輔社長)やオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)といった、精肉で値ごろ感を訴求するディスカウント型SMが若年層を中心に支持を集めており、精肉は競合に対する重要な差別化部門としての役割も大きくなっている。
このような競争環境の変化に対し、荒谷氏は
精肉MDの新常識! の新着記事
-
2023/02/14
知識が利益を生む!精肉バイヤーは「肉のコンシェルジュ」になるべき理由3つの戦法とは -
2023/02/14
価格と品揃えの広さと深さで他を圧倒!オーケーの精肉売場を徹底分析 -
2023/02/14
精肉に強い食品スーパーはどこ?消費者調査でわかる主要8スーパーの実力と支持される理由 -
2023/02/13
安さで勝負するドラッグストア「ゲンキーの精肉売場 昨対売上15%増の秘密とは -
2023/02/13
輸入肉に加え、国産豚も相場急騰!原価高の精肉部門がやるべきこと -
2023/02/13
牛一頭買いとプロセスセンター間の連携で実現するライフの精肉MD
この特集の一覧はこちら [12記事]
イトーヨーカ堂の記事ランキング
- 2025-11-10週刊スーパーマーケットニュース イオンリテール、精肉売場新モデル「MEAT PARK」展開
- 2025-09-10ヨークHD新体制下の経営戦略を発表 イトーヨーカ堂はフード&ドラッグに専念へ
- 2025-08-29週刊スーパーマーケットニュース ロピア、「ベストオブスーパー2025」で総合賞第1位を獲得
- 2025-10-10連載 小売業とM&A 第6回:総合スーパーにおけるM&A活用の方向性
- 2020-11-20イトーヨーカドー朝霞店売場解説 常温・冷蔵・冷凍の3温度帯提案の総菜が、コロナ禍でも好調!
- 2023-06-07関係者も注目の新たなモデル店舗? 「イトーヨーカドー和光店」の食品売場を解説!
- 2025-04-14ネットスーパー相関図 2025 市場拡大背景に協業・提携が活発化!
- 2025-10-09総合スーパー市場占有率2025 市場縮小のなか上位5社の寡占化続く
- 2020-09-15ヨーカ堂、長野・上田市で移動販売を開始、「とくし丸」4台目
- 2023-01-26センター化に舵切るイトーヨーカドーネットスーパーの現状と勝算とは?顧客体験向上も進む
関連記事ランキング
- 2025-11-10週刊スーパーマーケットニュース イオンリテール、精肉売場新モデル「MEAT PARK」展開
- 2025-11-11バロー参戦で大混戦!大阪で視察必須の注目エリア「寝屋川・香里園」の歩き方
- 2025-11-20ダイエー店舗を承継 「イオンスタイル市川コルトンプラザ」をレポート
- 2020-12-04「ユーストア」の屋号を11年ぶり復活、ユニーが名古屋の既存店改装で
- 2025-11-26業態別 主要店舗月次実績=2025年10月度
- 2025-09-25イオンリテール古澤社長が示す、「新しい総合」の設計図
- 2025-09-10ヨークHD新体制下の経営戦略を発表 イトーヨーカ堂はフード&ドラッグに専念へ
- 2025-08-29週刊スーパーマーケットニュース ロピア、「ベストオブスーパー2025」で総合賞第1位を獲得
- 2025-10-10連載 小売業とM&A 第6回:総合スーパーにおけるM&A活用の方向性
- 2024-03-26食品小売で一気に進む!競争に巻き込まれない新しいPB戦略とは?
関連キーワードの記事を探す
バロー参戦で大混戦!大阪で視察必須の注目エリア「寝屋川・香里園」の歩き方
ダイエー店舗を承継 「イオンスタイル市川コルトンプラザ」をレポート
総合スーパー市場占有率2025 市場縮小のなか上位5社の寡占化続く






前の記事
