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「品質は他社以上、価格は下をくぐる」 イズミが25年9月に自社PBを本格始動へ

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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イズミ(広島県/町田繁樹社長)は4月14日に開催された2025年2月期決算説明会において、同年9月をめどに自社プライベートブランド(PB)を本格展開する方針を明らかにした。まずは日配品を中心に約30品目を導入予定。物価高が続き、価格と価値の両立が求められるなか、まずは値ごろ感のある「梅」の商品を展開する考えだ。

ゆめマート五日市
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価格訴求型からスタート!ゆくゆくは高付加価値型PBの展開も

 イズミは25年9月から、自社開発のPBを本格展開する。まずは日配品を中心に約30品目の投入を予定しており、将来的には食品売上高のPB比率を10%まで引き上げる計画だ。ブランド名は現時点で未定だが、今後の展開を左右する戦略の一環として注目が集まる。

 これまで同社は、業務提携関係にあるセブン&アイ・ホールディングス(東京都)のPB「セブンプレミアム」のほか、総菜部門では自社製造のオリジナルブランド「zehi」を導入し、一定の支持を集めてきた。今回の取り組みは、自社主導の製品開発体制を本格的に確立するうえでの大きな一歩となる。

 初期投入される商品群は低価格ライン、いわゆる「梅」の価格帯が中心となる。インフレ環境下で価格感度が高まるなか、まずは生活防衛意識の強い層に向けた対応を優先する。イズミの山西大輔副社長は「逃げてはいけない価格帯」としたうえで、「味わいで競合他社を上回り、価格はその下をくぐらなければならない」と強調。価格競争に挑むだけでなく、品質面でも優位性を確保する姿勢を示した。

 ただし、将来的には中価格帯(竹)や高付加価値型(松)のPB展開も視野に入れており、価格帯ごとのポジショニングを明確にしたうえで、顧客層の多様なニーズに対応していく。なお、セブンプレミアムの取り扱いも継続する。

地場連携で競争力を確保、素材活用も視野に

 製造面では、地場メーカーとの連携を軸とした体制を構築する方針だ。主に九州・中四国エリアの製造業者と協業し、物流コストの抑制を図る。

 また、原材料を部門横断的に活用する「素材起点の商品設計」も推進する。たとえば、PBで開発した醤油を総菜部門の唐揚げの味つけに活用したり、パン粉をベーカリー部門の商品に転用したりといった取り組みが想定されており、原材料の共通化による原価最適化と商品力の強化を同時に進める。PB単品の訴求だけではなく、部門間連携を通じた相乗効果によって商品価値を最大化する構えだ。

 イズミが掲げるPB戦略は、単なるコスト対策にとどまらない。インフレ下においては、価格だけでなく味・品質への信頼も購買判断に大きな影響を与える。今後同社が、「味わいで上回り、価格は下をくぐる」という方針をどこまで貫き、全社的な競争力強化につなげていけるかが焦点となる。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修了。関西のグルメ雑誌の編集部に所属後、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。趣味は地方をめぐって美味しいものを食べること。

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