「簡便・時短」から「タイパ」へ 急拡大する「タイムパフォーマンス」志向
「タイパ」商品続々、コーナー化で新たな気付きを
ここからは「タイムパフォーマンス」に関連する商品群やサービスを見てみよう。
まず、永谷園の「パキット」シリーズは半分に折ったパスタをパッケージに入れて電子レンジであたためるだけで、“パスタの茹で” と“ソースの温め”が一度にできる画期的なパスタソース。「1人分のパスタを茹でるのが面倒」といった声から誕生したタイパに優れた商品で、電子レンジを使用したパスタの新しい調理方法を提案する。
エスビー食品の「本挽きカレー」は溶かしやすいパウダー状のルウを採用することで、フライパンや電子レンジを使って簡単にカレーを作ることができる。
ニチレイフーズでは、電子レンジで指定の時間温めると冷たい料理が出来上がる新技術を採用した「冷やし中華」を発売し、好評を得ている。
アサヒコでは、たんぱく質や食物繊維が摂取でき「ながら食べ」や「タイパ食」に最適な総菜バー「たんぱく質10gの豆腐バー 蓮根と枝豆」を発売。日清食品では定番の「チキンラーメン」をそのままかじって楽しめるよう塩分を約50%に抑えた「0秒チキンラーメン」を発売し、大きな話題となった。
「タイパ」ニーズに合わせて、既存品をリニューアル展開するブランドもある。クラシエフーズの棒付きキャンディ「チュッパチャプス」は、飴の大きさを通常の半分にすることで舐める時間を短縮した「チュッパチャプス ミニ」を発売。
調理時間の効率化という観点では、ちょい足しで料理の幅が広がる「チューブ調味料」が人気に。これまではわさびやからしなど薬味商品が中心だったが、キユーピー「レシピひろがるパスタソース」のような新たなタイプのチューブ調味料も生まれている。
流通業側でも「タイパ」に関する取り組み事例が出てきている。小田急商事が運営する「Odakyu OX 祖師谷店」では、料理に必要な材料を商品カートにあらかじめ入れた状態で店頭に用意するサービスが話題に。ユーザーからは献立を考えるストレスが減る、買物の時短につながるなどの声が上がっている。
セブン-イレブン・ジャパンではスマホで注文した商品を最短30分で指定の場所に届けるサービス「7 NOW」を約1200店舗で導入している。
感染拡大以前の働き方に戻り時間に追われる人が増えたことで「タイパ」ニーズはより一層高まることが予想される。これまでも簡便・時短を謳った商品やサービスは多数あったが、新たなトレンドである「タイパ」をキーワードに用いることで売場に鮮度感を出すことができるだろう。店頭でも「タイパ」につながる商品やサービスを集積し家事の効率化を提案することで、来店者への気付きにつなげていきたい。