Scanditの革新的なスキャンアプリ 日本の小売業の店舗業務効率化・生産性向上に貢献

2024/02/29 17:30
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バーコードやID読み取りソリューションのグローバル企業Scanditは、スイス・チューリヒに本部を置き、欧米やアジアに拠点を展開。日本にも拠点を構える。小売や物流向けのソリューションで、業務のデジタル化をリードする同社は、人手不足や経営の効率化に課題を多く持つ日本の小売業向けに事業拡大をめざしている。Scandit創業者の1人でCEOのサミュエル・ミュラー氏に新しいソリューションの特徴や日本市場での展開について聞いた。

サミュエル・ミュラー氏
Scandit CEO兼共同創業者のサミュエル・ミュラー氏

スタッフの作業を効率化することで離職率も低減

――Scanditは世界規模で小売業や物流業のデジタル化をサポートしています。

ミュラー Scanditの創立は2009年。欧米、アジアに拠点を設置し従業員数は約400人です。グローバルで大手企業を中心に2000社以上との取引があり、テック企業とはアップル含めて主要な企業と戦略的なパートナーシップを組んでいます。ソリューションの展開として現在では世界1億5000万以上のデバイスにインストールされており、またスキャンベースでみると数百億レベルでのスキャンアプリケーションを展開しています。基本的には、当社が提供する「Smart Data Capture Platform」の機能を活用した事例が多い。このスマートデータキャプチャーの高い可用性により、導入企業で現場のスタッフに“スーパーパワー”を発揮してもらうのが狙いです。リアルタイムで情報を取り出してそれを活用できるようにしています。「Smart Data Capture Platform」により、さまざまなプロセスでデータを活用しながら、自動化を図り業務のスピードアップ、効率化を可能にしています。

Scanditの「Smart Data Capture Platform」がもたらすバリュー
Scanditの「Smart Data Capture Platform」がもたらすバリュー

――今回、ShelfViewとScandit Expressの2種のソリューションを新たに日本で展開します。

ミュラー ShelfViewは、いわゆるPPLE(プライス&プロモーションラベル・エグゼキューション)のソリューションです。小売業者の経営課題のひとつは膨大な人件費。スタッフを効率的に活用できているかが課題になっています。価格チェックやラベルのチェックは、多くの場合、棚にある商品のラベルや販促情報をチェックし、間違っていれば修正するところまで手作業でやっているのが実情です。これは人手も必要で膨大な作業になります。もちろんスピードは遅いし人間がやることなのでエラーも起きます。ShelfViewを活用することで作業ミスを避けることができますし、これが従業員のモチベーションにも影響し、ひいては離職率の低減にもつながります。

一般的な作業では、棚にある商品をモバイル端末でスキャンします。読み取っているのはバーコードと価格のラベルやそれに付随する情報ですが、基本的にそのデバイスはDBとつながっているので読み取ったバーコード情報から、DBの中にあるラベルの情報を参照します。参照して価格が正しければグリーンで表示するし、違っていれば赤で表示されます。そしてShelfViewでは、スキャンして読み取ってという複数のプロセスを統合しています。

導入効果として挙げられるのは、まず人件費を大幅に減らせることと生産性を向上できることです。そして間違えて安い価格を表示してしまい売上が減るのを避けること、さらに常に正しい価格を表示することで、お客様のロイヤルティを自社のブランドに紐づけて高めることができます。そして、従業員にとってはシームレスな一連の作業によりチェック業務を効率化することができ、店舗業務に専念できるようになります。

ShelfView導入のメリット
ShelfView導入のメリット

――Scandit Expressも注目が高いソリューションです。

ミュラー Scandit Expressはノーコードで利用可能なソリューションです。多くの強みがありますが、ひとつにはスピードとアジリティ(軽快さ)を確保できるということ。2つ目の効果としてはコスト効率が向上する、3つ目は既存のアプリやシステムとの統合が非常に容易であること。そして4つ目はITスキルの高い人材に頼らずに実装ができるということです。基本的にScandit Expressは、スタンドアローンシステムとしてモバイル端末上で動作します。そしてもうひとつは、アプリケーションの中でもキーボードの役割を果たしています。

通常であれば、すでにインストールされているデータキャプチャーできるアプリケーションを変更しなければいけないが、Scandit Expressは既存のアプリケーションを変更せずに統合することができることが特徴です。Scandit Expressがモバイル端末のキーボードの役割を果たすというのは、たとえば既存のアプリケーション内にテキストを入力するボックスがあれば、そこにキーボードでタイプインして情報入力しますが、Scandit Expressでスキャンすることで、自動的に情報を入力していくことができます。
さらに開発作業なしに高速・データエントリー、かざしてスキャンする方法、バッチスキャニングの3つのモードでスキャニングすることができます。バッチスキャニングでは、アイテムの一つひとつをスキャンするのではなく、たくさんの商品にデバイスをかざすだけでスキャンできます。商品それぞれのデータとともに個数も正確に把握することができるのです。

これまでは非常に高価なスキャンデバイスが必要だった機能を、既存のデバイスを使ってアジャイルに展開することができるのでコスト効率が高い。しかも作業プロセスを自動化することで劇的に効率化が図れ、業務専用端末でなくBYOD(ブリング ユア オウン デバイス:個人が私物として所有しているPCやスマートフォンなどのデバイスを業務に使う利用形態)を強固に実装できる点でもコストメリットを発揮できます。

NRF2024で日本の小売業者からの引き合いも強まる

――日本市場ではどのような展開をめざすのでしょうか。また、テクノロジー開発の方向性についてお聞かせください。

ミュラー 日本市場は当社が注力する市場のひとつです。とくにアジア太平洋地域の中でも主要な市場と位置付けています。日本では人手不足が社会問題となっていますが、離職率を低減するために、いかに柔軟性と機敏さを確保して生産性を高めるか、さらに従業員に満足して仕事をしてもらえるのかが大きな課題となっています。日本市場は新しいテクノロジーに対して開かれた社会だと思っていますし、また品質を非常に重視する市場ですので、我々が提供するアプリケーションの品質の高さが理解されると考えています。
ShelfViewのPPLEソリューションについては、日本の流通関係者がNRF2024の当社の展示を見て、日本でも使えないかという引き合いが強かったので、私たちも自信を持っています。小売業では、従来はバーコードに非常にフォーカスして、それに伴ってPPLEを取り込んでいこうとか、イメージ認識をもっと進化させていこうという動きがありました。これに加えて、インテリジェンス機能をどう組み込むかという流れがあります。

デバイスにカメラが搭載されていますが、そのカメラがデータを取り込むセンサーとして、キャプチャーしたものを認識できるというインテリジェンス機能として組み込むという方向性もあります。さらにカメラだけでなくロボットやドローンを活用してさまざまな情報を獲得する。場合によってはウェアラブルデバイスと統合し、機械学習やAIのようなインテリジェンス機能も統合することで、活用できる場面がさらに増えていくと考えています。

記事執筆者

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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